(ニュージーランド大使館商務部/ニュージーランド貿易経済促進庁)
総人口500 万人で 4,000 万分の食糧を生産する、世界に冠たる農業輸出大国ニュージーランド。その高い生産性を実現する優れたテクノロジーが輩出される背景には、イノベーションを育む土壌である「アグリテック・エコシステム」の存在があります。本コラムでは、2回に分けてエコシステムを紹介します。
農業市場における 5 つの変化
ニュージーランドはその基幹産業である農業の生産性を、アグリテックという新たなテクノロジーを起点とする営農活動の抜本的な刷新(イノベーション)により高めてきました。
バラエティに富んだ地形・環境が、多種多様かつ豊かな農産物の生産を可能にする一方で、その地形・環境下における農業課題を乗り越えるためにアグリテックが進化してきた、ともいえます。
加えて、20 世紀後半から 21 世紀にかけて続く世界人口の急激な増加によって引き起こされた、以下に示す農業市場の 5 つの大きな変化が、ニュージーランド・アグリテックに更なる進化を促しました。
① 消費者の嗜好の絶え間ない変化
② 先物商品市場の高いボラティリティ
③ 各国人口構成の変化
④ 労働力不足と人件費の高騰
⑤ 地球規模の気候変動
アグリテック・エコシステムの成長
ニュージーランドは、 農業輸出国としてこれら地球規模でおこる市場環境変化に対応し、アグリテックによるイノベーション創出を継続するため、国内におけるイノベーション創出の土壌づくり、いわゆるエコシステム形成に国を挙げて取り組んできました。
近年、ニュージーランド政府は、このエコシステムを世界レベルで競争力のあるものへと育てるため新たな政策ビジョンを策定しました。
特にロボティクス・自動化技術への投資を加速し、労働力不足が著しい国内園芸産業におけるソリューションとしながら、他産業への展開やグローバル展開を目指しています。こうした政府によるアグリテックおよびアグリテック・エコシステムへの積極的な支援は着実に実を結んでいます。
キャラハン ・ イノベーション ( Callaghan Innovation :ニュージーランド政府におけるイノベーション推進機関 )の調査によると、一般的には約 90 %が失敗に終わるといわれるスタートアップにおいて、アグリテックビジネスを展開するニュージーンランドのスタートアップの実に 58 %が困難な創業期を乗り越え、ビジネスを軌道に乗せて成長させている、 と報告されています。
この好結果・好循環を受け、政府はスタートアップ支援の更なる強化に乗り出しており、ニュージーランドのアグリテック・エコシステムはより一層の成長・飛躍が期待されています。
ニュージーランド・アグリテック2021のご紹介
ニュージーランド大使館商務部が主催するオンライン・ビジネス・マッチング・プラットフォームは、日本の企業や農家の皆さまとニュージーランドのアグリテック企業が交流し、お互いのニーズを最大限にサポートできる場所を見つけて頂ける便利な「場」を提供しています。
各種ウェビナーも開催しております。第1回目は、7月9日(金)12時から、ニュージーランド国立農業研究所(AgResearch)アレック・マッケイ博士による「有機農業」について、です。
■ニュージーランド・アグリテック2021へのご参加はコチラから
ご参加頂くためには、事前に登録が必要です。
ご登録は無料であり、ご登録頂いた皆さまにはニュージーランドの農業技術の「今」がわかるアグリテック・ストーリー(小冊子)の電子版をダウンロード頂くことが可能です。
■オンライン・セミナー(ランチタイム・ウェビナー)スケジュール
時間はすべて12時から13時までの1時間を予定します。また、ウェビナーはすべて日本語、または日本語通訳付きで実施します。
次回は、「アグリテック・エコシステム」第2回目、ニーズ起点の研究開発(効果的な産学連携を推進するニュージーランドの研究機関群)と有機的なエコシステム(NZアグリテック・エコシステムの仕組み)をご紹介します。ご期待ください。
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