- 農業にも携わる気象予報士 酒井紀子さんが、蓄積した気象データを分析し、これからの農場の天気を読み解きます。
1 今年の夏は「ほぼ平年並み」?
昨年の夏、西日本・東日本は記録的な高温となりました。(ホントに暑かった。。。わたくし暑さにめちゃめちゃ弱いので辛かったです)
今年の夏も暑くなるのでしょうか?!気になるところですね。
今回は2019年6月25日に発表された気象庁の最新の予報(7〜9月の三か月予報)を私なりの視点でお伝えします。(気象庁が定める夏の定義は6月から8月)
結論からお伝えすると全国的に「ほぼ平年並みの暑さ」の夏になりそう、ということです。(沖縄・奄美は平年よりも高い予想です)
(気象庁HPより)
2 いつもの夏と同じくらい「暑い」!!
昨年を振り返ると、5月末に発表された6〜8月の予報で7月は猛暑が予想されていました。
結果は予想通り!太平洋高気圧の勢力が強く連日猛暑日となったところが多くなりました。記録も更新し、7月として東日本は統計開始以来第1位、西日本は第2位の高温となりました。
そのため、残念ながら、熱中症による救急搬送の数も死者の数も激増してしまいました。農業は外での作業やハウス内での作業など特に熱中症にかかりやすい環境での作業が多いです。
気温が高いときや、気温がそれほど高くなくても湿度が高いときは特に警戒してください。熱中症は軽く見られがちですが死に至ることもある!、ということを忘れないでいただきたいです。
さて、今年の夏について少し詳しくみていきましょう。
「平年並みの暑さ」、私は意外と油断しがちな表現だと思っています。これを聞いて、今年は、それほど暑くないのかなと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも!でも!ここのところ、ずーっと夏は暑かったですよね。少し乱暴ですが、「いつもの(暑い)夏と同じ位暑い!」と解釈してください。
3 エルニーニョ発生の夏は気温は低め、なぜ今年も「暑い」?
では、去年との違いは何か?、ずばり「エルニーニョ現象」です。エルニーニョ現象は2018年の10月に発生し、現在も続いています。この秋にかけて続く予想です。
エルニーニョ現象の詳細な説明はここでは割愛しますが太平洋赤道付近の海水温が平年と異なる状態をエルニーニョ現象またはラニーニャ現象と言います。この現象が発生すると日本を含め、世界中で異常天候が起こると考えられています。
ではエルニーニョが発生していると、日本付近にはどのような影響があるのでしょう?夏の場合を見ていきます。下の図の左側をご覧ください。
(気象庁HPより)
エルニーニョ現象が発生している夏は、夏の主役である太平洋高気圧の張り出しが弱く、気温も低めで、日照時間が少なくなる傾向があります。
・・・気温は「低め」???今年の夏の予報は「平年並み」ですよね???いったい、そのずれはどこからくるのでしょう?
それには「地球温暖化」が影響しているようです。地球温暖化の影響で地球全体のベースの気温が上がってきているので、その部分の差し引きで、「平年並み」の暑さが予想されていると私は考えています。
やはり、これからの農業を考える上で「地球温暖化」というキーワードは切っても切れないものになりそうです。
ということで去年ほどの猛暑とまではいかなくとも、夏らしい暑さとなる見込みです。
農作物も大事ですが、最優先は命。命を守る行動をお願いいたします。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
公開日