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スーパー等の販売データや、既婚女性の調理記録、生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。西日本支社リサーチデザイン部の淺野桃加さんが、食のトレンドを解説します。
はじめまして。インテージの淺野です。
猛暑も終わり、秋の行楽や運動会など、お弁当を持って出かける方も増えてくるのではないでしょうか。
お弁当といえば、おにぎりや卵焼きといったイメージがありますが、最近ではサラダメインのお弁当をつくるという人もいるようです。私の友人も、ダイエットのためにサラダだけにしているとか、、、
そこで今回は、「お弁当のサラダ」事情を明らかにしたいと思います。
お弁当にサラダ?
まずは、インテージのデータの1つである1,260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」を使って、どのお弁当メニューが伸びているのかを確認してみました。
▼キッチンダイアリー TI値前年比(%)
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、弁当、2018年10月~2019年3月)
※TI値:1,000食卓あたりの出現回数(メニューが食卓に現れた回数÷食卓の数×1,000)
2016年から2018年のお弁当メニュー出現回数前年比の推移を見てみると、サラダは唯一、2017年度、2018年度ともに前年を上回って伸びています。
煮物は3年連続前年を下回っており、焼き物、揚げ物や米類は、2017年度に持ち直したものの、2018年度に再度減少しています。
お弁当のサラダ、3年前とどう違う?
では一体どんな種類のサラダが伸びているのでしょうか。同じくキッチンダイアリーを使って見てみました。
▼キッチンダイアリー TI値対2016年比(%)
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、弁当、2016年10月~2017年3月、2018年10月~2019年3月)
※TI値:1,000食卓あたりの出現回数(メニューが食卓に現れた回数÷食卓の数×1,000)
2016年と2018年を比較すると、最も伸びているのはコールスロー、次いで温野菜サラダでした。
ここで注目していただきたいのがマカロニサラダやスパゲティサラダです。これらのサラダが減少している一方、春雨サラダやツナサラダが伸びているのは、健康意識の高まりや糖質制限ブームなどによって「食べ応えはあるけれども、よりヘルシーな材料を使ったサラダ」が好まれるようになったためと推察できます。
また、温野菜サラダの伸びに関しては、2017年の1-3月にノロウイルスが大流行したこともあり、水分の出やすい生野菜を避け、温野菜を選択する家庭が増えた可能性も考えられます。
伸びているのは?
この3年間で伸びが大きかったコールスローなどのサラダについて、就業状況別に確認してみました。
▼キッチンダイアリー 就業状況別 TI値対2016年比(%)
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、弁当、2018年10月~2019年3月)
※TI値:1,000食卓あたりの出現回数(メニューが食卓に現れた回数÷食卓の数×1,000)
コールスローはフルタイム層、専業主婦層で伸びています。主な材料がキャベツのみでコストが安く簡単に作れることから、毎日仕事で忙しいフルタイム層や、節約したい専業主婦層に好まれているのではないでしょうか。
温野菜サラダ、春雨サラダはパート・アルバイト層が特徴的に伸びています。事前に調理でき、生野菜に比べて保存期間も長いことから、忙しい朝ではなく、前日や休日にまとめて作り置きしていると考えられます。
ツナサラダは専業主婦層の伸びが大きく、野菜嫌いの子供でも食べやすいよう工夫していると推察できます。一方で、コールスローや大根サラダといったヘルシーなサラダを好むフルタイム層において、ツナサラダは大きく減少しており、油分の多いツナを避ける傾向があるのかもしれません。
健康意識が高まっている今日、サラダをお弁当に入れる背景には、毎日食べるお弁当で、少しでも栄養を摂りたい/摂ってほしいという思いがあるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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