- スーパー等の販売データや生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。今回は、玉木健一さんが、食のトレンドを解説します。
こんにちは。インテージの玉木です。
昨今、様々な場面で耳にする「働く女性」という言葉。今回はそんな働く女性達の”食”の特徴を、我々インテージの強みである生活者情報を使いながら、お届けしたいと思っております。是非、最後までご一読ください。
働く女性(有職女性)と専業主婦でどの程度内食率(家で食事をする頻度)に違いはあるのか?
まずは、働く女性が朝・昼・夜にどの程度、家で食事をしているかを、インテージのデータの1つである1260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」で確認してみました。
▼キッチンダイアリー 職種別 内食率(%)※内食率:当該期間の延べ食卓数のうち、家庭内で食べた比率
(京浜、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、2019年1月~9月)
※有職女性:パート・アルバイトは除くフルタイム勤務者のみ
働く女性であっても専業主婦であっても、朝と夜に関しては内食率に大きな差はなく、働いていても朝や夜の外食傾向はあまりないことが確認でき、忙しい中でも朝食や夕食を抜いたり、外食を頻繁にすることは少なく、家族と共に家庭で食事をとっているということがうかがえます(ただし、キッチンダイアリーは単身世帯の調査はしていません)。
働く女性が食べる(作る)朝食メニューの特徴は?
働く女性と専業主婦の間で、朝食・夕食の内食率には大きな差がないことが確認できましたが、メニューの違いはあるのでしょうか。まずは朝食のメニューに注目してみます。
▼キッチンダイアリー 働く女性の朝食TI値※専業主婦のスコアと差の大きい順(TI値10以上)
(京浜、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、朝食、2019年 1月~9月)
※TI値:1000食卓あたりの出現回数
結果を見ると、最も差のあるメニューは「シリアル・フレーク」となっており、牛乳をかけるだけで簡単に栄養が取れる「シリアル・フレーク」は、働く女性の強い味方であることが想像できます。
次いで差が大きいのは「おにぎり」となっています。ご飯を茶碗に盛るよりも手間がかかるように思えますが、食後に「洗い物が少なくて済む」ことや、「そのまま家族や自分のお弁当にもしやすい」など、作る手間以上のメリットがあるメニューともいえそうです。時短というと”作る工程”に対して考えがちですが、洗い物などの後片付けを減らすなど、作る以外の工程に対してサポートができれば、忙しい生活者の食卓にのぼる可能性が高まるものとなるのではないでしょうか。
働く女性が食べる(作る)夕食メニューの特徴は?
続いて、夕食のメニューでも同様に働く女性と専業主婦とのメニューの違いを探ってみます。
▼キッチンダイアリー 働く女性の夕食TI値※専業主婦のスコアと差の大きい順(TI値10以上)
(京浜、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、夕食、2019年 1月~9月)
※TI値:1000食卓あたりの出現回数
まずTI値で専業主婦と差のあるメニュー1位は「アイスクリーム」です。また7位にランクされたメニューとして「チョコレート」も確認できます。このことは、日中を様々なストレスを受けながら会社で過ごす働く女性にとって、夕食時のデザートタイムが一日で最もリラックスできる時間帯なのかもしれませんね。
もう1つ私が注目したメニューは「野菜炒め」や「ハンバーグ」、「塩焼き・素焼き(魚)」です。これらは、一見全く違うメニューのように見えますが、全て”焼く“、”炒める”メニューとなっており、”煮る”や”茹でる”メニューではないことが共通点と言えます。無意識の中かもしれませんが、帰宅後に料理をしなくてはならない働く女性にとっては、素材を生かしスピード感のある”焼く“、”炒める”メニューが自然と多くなっているのかもしれません。
今回は働く女性の特徴からヒントを探りましたが、専業主婦や単身者においても、それぞれの生活リズムを考えた中でメニューや食材を提案することが、食卓での出現頻度を上げる一歩となるのではないかと考えます。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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