”毎日の料理を楽しみにする”料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」では、利用者の検索・アクセスログを活用した「たべみる」というビッグデータサービスを提供しています。
クックパッドで検索されるキーワードは、サラダ・パスタなどのメニュー系キーワードや豚肉・キャベツなどの材料系キーワードだけではなく、地域性や季節性、また誕生日や運動会などといったシーンでの検索状況もわかるため、「たべみる」は、生活者の真のニーズが可視化できる便利なサービスです。
本稿ではレシピ検索を通して食卓の実態を探るべく、クックパッドに日々蓄積されるレシピ検索ビッグデータを可視化できる「たべみる」を用いて、「話題の食材とメニューの関係」を分析いたします。
第1回目の今回は、「2019年を代表する食卓トレンド」にフォーカスし、分析した結果をご報告させていただきます。
【クックパッド】
クックパッドは、”毎日の料理を楽しみにする”というミッションのもと1998年3月に開始した料理レシピ投稿・検索サービスです。現在の投稿レシピ数は320万品を超え、国内では月間約5,400万人に利用されています。また、世界74カ国・地域、32言語でもサービスを展開しています。(2019年9月30日時点)
【たべみる】
たべみるは、クックパッド株式会社が提供する、食の検索データ分析サービスです。
文=安達結(クックパッドトレンド調査ラボ)
2019年を代表する食卓トレンドにはどんなものがあったか?
「話題の食材とメニューの関係」について触れる前に、2019年を代表する食卓トレンドにはどんなものがあったのかを振り返ってみましょう。
クックパッド株式会社は、「食トレンド大賞2019」を選出しています。こちらは、クックパッドの検索データ分析ツール「たべみる」や「クックパッドニュース」のアクセス数などのデータをもとに、2019年を代表する家庭料理のトレンドキーワードを選出したものです。
食トレンド大賞2019において、大賞に輝いたのは「下味冷凍の肉おかず」でした。
肉や魚などの素材に調味料を合わせ、保存袋などの袋や容器に入れて冷凍保存しておく「下味冷凍」は、作りおきブームの中で2016年頃から注目されはじめ、2019年ついに大賞を獲得しています。人気の理由は、調理前の下処理を済ませているため、あとはそのまま加熱するだけという便利さなどにあります。
準大賞に選出されたのは、今や全国各地でイベントやフェスが開かれるほど人気を見せている「パン」。空前のパンブームとも言われており、その需要の高さは日本人の主食である米をしのぐ勢いを見せています。そんな中、近年話題になっているのが程よい弾力とふわっとした食感が特徴の「生食パン」です。ご家庭でも、生食パンを楽しもうと調理する人が増えました。
これら以外にも、2019年を代表する家庭料理のトレンドキーワードを選出していますので、ぜひぜひこちらからご確認ください。
2019年を代表する食卓トレンドとは?
「献立のシンプル化」と「一点ごちそう主義」が主流に
2019年の家庭の食トレンドは、大きく3つのポイントが読み取れます。
● 献立のシンプル化
1つ目は、節約や時短・簡便ニーズなどを受けて「献立のシンプル化」傾向が高まりました。2019年のトレンド大賞に選ばれた「おかず味噌汁」や「ごちそうおにぎり」は、ここ数年で表れてきたメニューキーワードです。
食事づくりが負担になりがちな中で、毎食しっかり作らなくても良いのではという生活者の思いが、一汁一菜を楽しむ流れを作り出しているともいえます。
● 1点ごちそう主義
2つ目のポイントは、節約や時短は当たり前だけれど、ちょっとのこだわりを楽しみたいという生活者の傾向です。2018年頃から人気が高まっている「生食パン」は、日常の食パンを少し贅沢して楽しみたいという「一点ごちそう主義」の傾向が見られました。前項で触れた「ごちそうおにぎり」も、具材は豪華にしてみるといったこだわりがうかがえます。
● がんばらない丁寧なくらし
3つ目のポイントは、「がんばらない丁寧なくらし」です。2018年の食トレンド大賞にも選ばれた「梅シロップ」や「梅ジュース」の検索頻度が上昇を続けています。忙しい中にも、手間のかかる手仕事料理を取り入れることで、生活のゆとりや癒やしとして料理を楽しみたいという傾向は2018年頃からの傾向から変わっていません。
令和という新時代の幕開けは、日本の文化・食が再認識され、日本の料理や旬の食材などが、再び注目されるきっかけにもなることが予想されます。
より詳細な情報については、こちらからご確認をお願いいたします。
食卓トレンドからみられる野菜キーワードのトレンドとは?
「こだわり」は、個々人により異なるものであり、いわば千差万別な要素です。昨今において「健康や美容ニーズ」が高まっている傾向にあるという情報を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。テレビやインターネットなど様々なメディアで、健康や美容など、なんらかに効果的といった野菜そのものの成分も注目されています。
しかしながら、健康に良かったり、美容効果が高くても、一過性のブームで終わってしまう野菜も多くあります。
クックパッド上でのキーワードの検索は、日々膨大なデータが蓄積されていることからも、様々な背景要因をもって検索されているといえます。クックパッド上での検索頻度が高まっている、一過性のブームで終わりがたい野菜には、どのようなキーワードがあるでしょう。
バターナッツかぼちゃ
まず最初にご紹介したいのが「バターナッツかぼちゃ」です。
●「バターナッツかぼちゃ」の検索頻度(年別)
「バターナッツかぼちゃ」は南アメリカ原産のかぼちゃの一種で、欧米ではButternut squashと呼ばれるポピュラーなかぼちゃの一種です。一般的には9月〜11月が旬で、収穫直後は糖度も低くさっぱりしています。さつまいもやかぼちゃと同様に1〜2か月間追熟すると、より甘みが増すと言われています。
クックパッドでの検索頻度は上昇傾向にあり、2018-2019年比で165%上昇しています。
「バターナッツかぼちゃ」は、様々なキーワードと組み合わせて検索されていますが、その中でも「グラタン」「プリン」などと組み合わせて検索されており、検索頻度も上昇傾向にあることがわかります。「グラタン」のような主食から「プリン」のようなデザートとしても調理利用されていることがわかり、食卓に提供する際のバリエーションの豊富さがうかがえます。
万願寺とうがらし
次にご紹介したいのが「万願寺とうがらし」です。
●「万願寺とうがらし」の検索頻度(年別)
「万願寺とうがらし」は甘とうがらしの一種で、京都府舞鶴市の万願寺地区で生まれた「ブランド京野菜」の一つと言われています。大正末期に当時貿易港として栄えていた舞鶴で、従来から京都で栽培されていた在来種の伏見とうがらしと、ピーマンの一種カリフォルニア・ワンダーが交配されたと言われています。万願寺とうがらしはハウス栽培などで通年出回りますが、一般的に露地物は主に6月から8月にかけての夏が旬と言われています。
クックパッドでの検索頻度は上昇傾向にあり、2018-2019年比で129%上昇しています。
「万願寺とうがらし」と組み合わせて検索されているキーワードを確認してみると、「炒め煮」が2017-2018年比で2451%上昇し、続く2018-2019年比では104%上昇と、そのトレンドが落ち着いてきていることがわかります。
一方で、「焼きびたし」が2018-2019年比で742%と急上昇し、調理方法のトレンドの変化をうかがい知ることができます。
また、「味噌炒め」や「甘辛炒め」などのキーワードとも組み合わせて検索されており、主菜として調理利用されていることがわかります。
ベビーコーン
次にご紹介したいのが「ベビーコーン」です。
●「ベビーコーン」の検索頻度(年別)
「ベビーコーン(ヤングコーン)」は、その名の通り、とうもろこしの実が大きくなる前に若採りしたものです。通常一本の株から2本のとうもろこしが収穫されますが、実際には3本以上実がなったりします。その3本目以降は先の2本を太らせるために、摘果されたものがベビーコーンとして出回ります。ベビーコーンはとうもろこしの栽培過程でできるものなので、とうもろこしの収穫時期よりも前の5月から6月にかけて収穫されます。
クックパッドでの検索頻度は上昇傾向にあり、2018-2019年比で121%上昇しています。
「ベビーコーン」は、「レンジ」との組み合わせ検索頻度が上昇傾向にあることがわかります。一般的に想起されやすい調理方法は「ボイル」だと思われますが、時短・簡便ニーズなどを受けて調理時間の短縮や失敗しない調理に対するニーズの高まりがうかがえます。
また、「バター炒め」や「テリーヌ」とも組み合わせて検索され、主菜を中心として調理利用されている食材であることもうかがえます。
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