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食品のネット販売の専門家 ヤフー株式会社 桝竹 崇志さんが、インターネット店舗運営のポイントを解説します。
さて、今回はいよいよECサイトにおける食品の売り方を詳しく紹介します。いつ売れるのか?どうすれば売れるのか?リアルのお店と違うポイントは?という点についてお話します。
ECサイトで食品はいつ売れるのか?
スーパーマーケットや青果店などの場合、一日の営業時間が決まっていますが、ECサイトは24時間、365日お店が開いており、いつでも商品が陳列し、いつでもお客様が自由に購入できる売り場です。食品の種類も、お米、魚介類、肉、フルーツ、お菓子と、どんな商品でも買うことができます。
基本的にはリアルのお店と同様に、お米やお菓子などの常備品は年間のトレンドもあまりなく、定常的に売れています。魚介類や肉などは年末の需要が大きく、スイーツの需要はバレンタインや母の日などの季節トレンドと同様の動きになります。
しかしながら、リアルのお店と違う動きをする食品もあります。例えばさくらんぼです。一般的に“旬”は、6月上旬から7月中旬です。
おそらくスーパーなどで一番フルーツが売れるのは“旬”といわれる時期になるかと思います。それに対してECサイト上でのさくらんぼの売上推移は4月からたくさん売れ始め、5月にピークを迎えます。
これは“予約販売”という販売方法で、“今年のさくらんぼは例年よりおいしい!”といった訴求や、“早期予約”での価格訴求をすることで、本来の“旬”を迎える前に大部分を予約で受注します。生産者は、あらかじめ販売数をある程度把握できるので出荷もスムーズになり、旬を過ぎて“売れ残ってしまう”リスクを減らせます。
フルーツ以外にもクリスマスケーキは10月頃から予約注文が増え始め、おせちは8月から予約注文が始まります。早い段階で出荷や販売数の見込みを立てることができるのも、ECサイトの便利な点だと思います。
「旬」を踏まえたECサイト選定のポイント
上述のとおり、「季節性」や「旬」がある農産物・加工品のように、年間を通して安定的な販売数が見込まれない食品を出品する場合、出店にかかる費用体系に注意が必要です。
例えば、開業した自社EC店舗において、4月が「旬」の農産物を1品だけ取り扱うときを考えてみましょう。当たり前ですが、固定費用が必要なECサイトを選定した場合、残りの11ヶ月は出品するモノがないのに、費用だけかかってしまいます。
ECサイトそれぞれで出店にかかる費用体系は大きく異なりますので、「旬」や「賞味期限・消費期限」があることを念頭に置きながら、店舗の品揃えや全体の販売チャネル戦略も踏まえて、選定するとよいでしょう。
なお、Yahoo!ショッピングは、旬の時期だけネットショップを運営することが可能な費用体系となっています。詳しくはコチラをご覧ください。
ECサイトで食品はどうすれば売れるのか?
ECサイトで食品を売る方法を考えるために、スーパーマーケットに置き換えて考えてみたいと思います。
スーパーマーケットでは、品揃え、価格、タイムセール、陳列など、さまざまな方法でお客様の目を引かせるため、購入の後押しとなる工夫をしています。また、出店する場所の立地やお店の大きさ、内装、時にはチラシや呼び込みなど、お客様に多く来店していただくための設計があると思います。
ECサイトで食品を売る方法は一見難しいと思われますが、実はECサイトでもリアルのお店と売るための方法はほぼ同じです。
品揃えに関しては、お客様に選んでいただく商品の種類が多い方が良いです。ECサイトの“検索結果”にたくさん商品が並び、多くのお客様に来店していただくきっかけになります。
価格の設定やタイムセールの実施は、競合店に負けない“お得感”をどれだけ出すことができるかということが重要です。
また、陳列や内装といったお店作りは、ECサイトでいう“ページ作り”にあたります。お店作り=ページ作りは、お客様の購買の後押しにつながる重要な部分です。ECサイト上では、自由度が高く、思い通りのお店にすることも可能なので、リアルのお店さながらに自分好みのお店をインターネット上につくることができます。
そのようなお店作りに加えて、リアルのお店における立地やチラシといったお客様を呼び込む施策が、ECサイトにおいては“広告”であり、+αで集客効果をもたらす手法です。どんなに良いお店でもお客様に来ていただかないと商品が売れないのはリアルのお店もECサイトも同様で、お客様に来ていただく“導線”をいかに用意するかも大きなカギになってきます。
開店後のサポートの重要性
上述のようなお店作りや集客施策がECサイトで食品を売るためのポイントですが、具体的にどういう行動をしたらよいのかについては、なかなかイメージがつかず、悩まれるところかと思います(次回以降のコラムで説明します)。
Yahoo!ショッピングでは、より効果的な売り方をするための様々な機能・ソリューションを提供しています(詳しくはコチラをご覧ください)。開店後にどのようなサポートを受けられるかも含めて、ECサイトを比較・検討するとよいでしょう。
昨年末、Yahoo!ショッピングに出店していただいている、海産物を販売している会社に訪問させていただいた際の話を1つ紹介いたします。
先方の社長が「“牡蠣”を売りたいがネットでまったく売れなくて困っている。半額でも利益が出るのだがどうすれば売れるか?」とおっしゃいました。そこで私はその“牡蠣”についての商品ページ、商品名、販売価格、半額クーポン、導線となる広告などを社長と細かく検討しました。
ECサイト上での相場や売れている競合店などの状況も調べて販売計画を立て、1カ月間“牡蠣”に注力して販売することにしました。結果は、前月の10倍以上の売上を記録することに成功し、年明けに再訪した際には「次はホタテを売りたい!」と社長から喜びの声を聞くことができました。
ECサイトで食品を売る、ということは一見難しそうでハードルが高いように思えますが、実は“リアル”か、“ネット”か、という売り場の違いだけで、売り方などの基本的な考え方は同じです。
次回もECで食品を売ることについて有益な情報をお届けします。ぜひご期待ください。
シリーズ『ネットで食品を売る』のその他のコラムはこちら
Yahoo!ショッピングは、農産物・加工品の販売に適したECプラットフォームを提供。出店後においても、豊富なデータをもとに販売戦略の実践をサポートします。ECサイトへの出店でお困りの方は、コチラからお気軽にお問合せください。
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