(株式会社インテージ 西日本支社 リサーチデザイン部 住吉雄大)
コロナ禍に拡大した“リーフレタス”市場を読み解く
インテージの住吉です。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
今年のお正月は例年と違い、コロナ禍のため実家への帰省も難しく、家族で一緒に過ごすことも叶わず、少し物足りないものとなりました。生産者の皆さまにおかれましても、コロナ禍において、普段とは異なる新年を迎えられた方も少なくないのではないでしょうか。今年も、少しでも有益な情報をお届けすることができればと考えております。
コロナ禍では、私たちの食生活も大きく変化しました。今回は、「昨年食卓でよく使われるようになった食材は何か」という視点から、食生活の変化を読み解いていきたいと思います。
昨年伸長した食材は?
まずはインテージ食卓調査「キッチンダイアリー」にて、昨年よく使われるようになった食材をみてみましょう。2021年1月時点で公開されている2020年11月を最新期間として、直近12カ月のTI値(1,000食卓あたりの出現回数(回))を、前年同期間と比較しています。
▼食材のTI値の前年比ランキング 京浜+京阪神+東海エリア
※2019年12月〜2020年11月のTI値が10以上の食材のうち、上位10位のものを抜粋。

食材として利用されている野菜や果実類の中から、昨年に比べてTI値が増加したもの順に、ランキングを作成しております。
昨年に比べて利用が増加したものは、1位はリーフレタス(サニーレタス)、2位にんにく、3位ミニトマトとなっています。
リーフレタスは、3位のミニトマトとともに、サラダ需要の増加に伴い増えていると推察されます。2位のにんにくは、前回の寄稿で着目した通り、免疫力向上などの健康効果が注目されていることから人気となっていると考えられます。
リーフレタスの伸長要因は?
1位のリーフレタスについて、TI値の月次トレンドから、伸長要因を考察してみます。
▼リーフレタスのTI値の月次トレンド 京浜+京阪神+東海エリア
※各年、前年の12月から当年の11月までの12カ月トレンド
月別に見ると、リーフレタスが最も食卓に並ぶのは、旬の時期で出荷量が増える5月頃となっています。
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大を背景として、内食需要が伸長したため、リーフレタスのTI値は2月以降前年を上回る水準で推移しています。
とりわけ、出荷量が増える5月には、緊急事態宣言の発令や小中高の休校により内食需要がいっそう高まっていたため、前年比120%と大きく伸長しました。また、9月と11月には前年比129%とさらに伸長しています。
この要因を考えるため、インテージ小売店パネル「SRI」より、スーパーマーケットでの、リーフレタスを含むレタスの平均個数単価の月次トレンドをみてみます。
▼レタスの平均個数単価の月次トレンド 全国計(沖縄県を除く)
※2019年12月から2020年11月までの12カ月トレンド。※スーパーマーケットの値。
レタスの平均個数単価は、長梅雨や日照不足を背景として、2020年8月には188円まで上昇しました。ところが、その後天候が安定したことで、9月には単価が127円と大きく下落したのち、11月にかけても緩やかに下落しました。
リーフレタスの価格の下落した9月以降に、TI値の伸びていることから、相場が落ち着いたことが食卓での使用を増加させる要因となったと考えられます。
リーフレタスの使用シーンは?
これまでのTI値は、朝食・昼食・夕食のすべての食事タイミングでの数値になっていますが、どの食事タイミングで増えたのでしょうか。次に食事タイミング別のTI値を確認します。
▼リーフレタスの食事タイミング別TI値 京浜+京阪神+東海エリア
朝食・昼食・夕食のすべての食事タイミングで、2019年12月〜2020年11月のTI値は前年同期よりも増加しています。値は小さいものの、とりわけ昼食のTI値が前年同期比124%と大きく増加していることが分かります。
それでは、リーフレタスは、どういったメニューに使われているのでしょうか。食事タイミング別のメニューをみてみましょう。
▼リーフレタスの食事タイミング別メニュー出現率(%) 京浜+京阪神+東海エリア
※2019年12月〜2020年11月のTI値が上位5位のものを抜粋。
どのタイミングでも「生野菜・野菜サラダ」としての喫食が中心ですが、朝食・昼食では「サンドイッチ」の材料としてもよく使われています。外出自粛により内食機会が増えたことで、サラダやサンドイッチなど簡便に食事を作る際にも、リーフレタスが活用されていることが見て取れます。
コロナ禍において内食機会が増加するなか、9月以降の値ごろ感も追い風となり、リーフレタスの食卓への使用が進んでいることが分かりました。
2021年は、まだまだ先行きが不透明な状況が続くと思いますが、どのように食卓が変化していくのか、動向が注視されます。最後までご覧いただきありがとうございました。
シリーズ『データに基づく食生活のトレンド分析』のその他のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
公開日