アグリウェブ読者のみなさま、はじめまして。
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の渡辺和博と申します。
本連載におきましては、流通の出口であるPPIH海外店舗の販売動向を元に、海外顧客のニーズやウォンツを農業に携わるみなさまへタイムリーにご提供します。
ドンキが海外?
さて、PPIH と言いましてもご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」などを国内外に展開している会社でございます。
私はPPIH の海外事業MD サポート本部という部署で、PPIH グループの海外店舗へ日本産品を供給することを中心に、貿易、店舗収支計画の⽴案などに携わっております。
ドンキが海外︖とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、当社は現在、海外に55 店舗を展開しております。(1/19 時点)
地域別では、2017 年12 月、シンガポールに「DONDON DONKI オーチャードセントラル店」をアジア1 号店として出店し、現在同国に8 店舗、そして香港に6 店舗、タイに2 店舗、台湾に1 店舗と、アジアにおいて3 年間で17 店舗を出店しました。また、アメリカ(カリフォルニア、ハワイ)においても38 店舗を展開しております。
ちなみに台湾は1/19 に1 号店目の「DON DON DONKI ⻄門(シーメン)店」をオープンしたばかりです。
なぜ、出店・運営が難しいとされている海外において、当社がハイスピードで出店することが可能であったのでしょうか︖
その秘訣を少しお話させてください。
日本産品の品揃えのみへの徹底したこだわり
まず一つ目は、取扱い商品の『選択と集中』です。
海外の店舗は“ジャパンブランド・スペシャリティーストア”をコンセプトに、“MADE IN JAPAN” “MADE BY JAPAN” ”PRODUCED BY JAPAN”の日本産品や日本由来商品の品揃えのみに徹底的にこだわっております。
ピュアジャパンを『食』で表現し、圧倒的に訴求することによる『偏愛と傾斜』が大きな信頼に繋がっています。
日本産生鮮品の圧倒的なブランド × 店頭での販促
二つ目は、海外のお客様は、日本の食料品(生鮮品)=「信頼」・「新鮮」・「美味」という認識をしております。その結果、日本産生鮮品は海外において圧倒的なブランドとなっており、加えて、当社従業員による店頭での販促(顧客に生産者さまの想いや魅⼒を伝達する)効果が掛け算になっていることが人気の理由と私は強く感じております。
日本産生鮮品の人気ぶり
少し話が逸れますが、焼き芋を例とした日本産生鮮品の人気ぶりをご紹介いたします。
焼き芋は、日本では馴染み深い商品ですが、海外での浸透はつい最近のことなのです。
シンガポール1 号店のオープン当日、焼き芋機の前に、なんと50m もの大⾏列ができました。従業員一同、予想以上の人気ぶりに大変驚いたことは、記憶に新しいです。
これは食べ歩き文化の象徴的な現象であることに気づいたとともに、『ドンキ流ジャパンモバイルフード』が誕生した瞬間でもありました。
その後の出店店舗においても、焼き芋は同様の人気で、この販売ペースが続くと供給が追いつかなくなるのではと不安を感じ、即座に生産者さまにお会いするために日本全国を回り、商談をさせていただきました。
おかげさまで、現在は焼き芋だけで年間400t 以上、生芋を合わせると650t 以上を安定的に供給できています。
これはほんの一例であり、他にも日本以上に人気の日本産品が数多くございます。
海外の多くのお客様が日本産品を熱望しているということを、私は経験として実感しております。だからこそ、日本の素晴らしい産品を海外のお客様にお届けすることが、当社の使命でもあると感じております。
想像しなかった品目が人気になることも多々あり、海外という大きなマーケット×新しい商品提案は、大きなポテンシャルに満ち溢れています。
PPIHの海外戦略、オールジャパンの取組み
さて次に、PPIHの海外戦略についてお話しいたします。
日本政府は、農林⽔産物の輸出目標を、2025 年に現在の倍の2兆円、2030 年に5 倍の5兆円にするという輸出目標を掲げています。(2019 年の食品輸出額9,121 億円)
日本の食品輸出割合は、アメリカ・イギリス・フランスなどの諸外国と比較すると1/5 以下であり(フランス対比では1/10 以下)まだまだ輸出ポテンシャルがあると考えられています。
一方で当社は、2030 年に海外事業売上高目標1 兆円(グループ合計売上3兆円)を掲げております。この目標達成に向け、新規出店国および既存出店国において出店スピードを加速してまいります。
Pan Pacific International Club
そのため、当社は、海外輸出に取り組む(または取り組みたい)生産者さまや流通事業者さま・輸出に携わる官庁・自治体などとのパートナーシップ組織「Pan Pacific International Club(略称︓PPIC(ピック))」を昨年10 月に⽴ち上げました。
PPIC は、輸出に携わる事業者・関係団体と"オールジャパン"で輸出に取り組んでいくための会員組織です。
PPIH グループ海外店舗への出荷にむけた商談を定期的に開催するほか、PPIH グループのPOSデータを活用した海外のマーケット情報をご提供することで、生産者のみなさまは作付計画や製造計画にお役⽴ていただけます。
PPIC は入会費無料で、海外輸出を希望する方でしたらどなたでもご入会いただけます。ぜひアグリウェブ読者のみなさまもご入会いただければうれしいです。
■ピック入会申込フォームはこちら
最後に、PPIHの企業理念は『顧客最優先主義』です。海外のお客様に喜んでいただけるために製販企画一体となり、WIN-WINの関係を⻑期にわたり築ける関係の方々との円を大きくしていくことが最大の戦略であると考えております。
我々と一緒に、ぜひ海外のお客様へ日本産品を届けようではありませんか︕
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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