(『バイヤーズ・ガイド』編集発行人 永瀬正彦)
第4回目となる今回は、前回のターゲット・利用シーンに続いて、商品が持つ6つの特性について見ていきましょう。今まで数多くの食品バイヤーとお目にかかってきたのですが、バイヤーが商品を見る時のポイントは、アイテム・機能・サイズ・用途・テイスト・価格といった、6つの特性に集約されることが多いようです。
それでは早速、各特性について見ていくことにしましょう。
アイテム(種類)
アイテムは商品の種類・バリエーションです。第2回でご説明したように、バイヤーは自分たちのお客様が購入するか?という視点で商品をチェックします。この時、商品単体(点)であれば1つの商品で勝負することになりますが、商品群(面)であれば複数アイテムなのでバイヤーのアンテナにひっかかるチャンスは増えます。
その上でバイヤーから「商品Aが作れるのなら商品Bを作れませんか?」「商品Bが作れるのであれば商品Cができない?」といった“売れるためのアドバイス”をもらうことが重要です。
機能(役割・働き・デザイン)
商品を販売する時、実演販売であれば商品説明や試食を交えて、お客様に納得してお買い求めいただくことができます。一方、通常の小売店の棚で販売する場合、商品説明も試食もできません。そうなると商品を見ただけで、お客様に「こう使ってください」「こう食べてください」といった機能が伝わらないと購入してもらえないのです。
よく「食べれば分かる」という方がおられますが、お客様は「食べないと分からない」のです。この「食べないと分からない」商品をパッケージやデザイン、場合によっては店頭POP等で、手に取ってもらうためのアイキャッチ、商品の機能が伝わる仕様にしなければなりません。
サイズ(大きさ・量)
私が子供の頃、醤油は一升瓶で売っていましたが、現在の少子高齢化・個食の時代に購入されると思いますか?
消費者は食べ物を捨てるのが嫌なので、“食べきれる・使い切れる量か?” を買う前にチェックします。また買ったけれど使い切れなかった商品を再度購入するかというと、こちらも疑問符が残ります。やはり「美味しかったので全部食べきった、使い切った。物足りないのでまた買いたい!」商品がリピートされるのです。
「折角買ってもらうのだから、たくさん食べて欲しい」という思いで増量して、消費者から敬遠されてはいませんか? 皆さんの商品は “食べきり・使い切り” で、リピート買いしたい商品に仕上がっているでしょうか。
用途(自家用・ギフト、デイリー・ハレの日)
商品の利用シーンが、自家需要またはギフト、日常使いもしくはハレの日というように、用途によって商品で置かれる店舗・売場が変わってきます。簡単に説明すると、自家用・デイリーであれば量販店向き、ギフト・ハレの日であれば百貨店向きといった具合です。
高額商品が量販店に置かれない、低価格商品を百貨店が扱わないように、お店は自社のストア・コンセプトに従って品揃えをしているのです。
テイスト(スタイル・味・風味)
食品であればテイストはとても重要です。ここで私がお薦めしているのは “”引き算のモノ作り” です。というのも消費者は食に関して、足し算ができるけれど引き算ができないのです。
例えば購入した商品が “甘過ぎる” “塩辛すぎる” としたら、引き算ができないので捨てるしかありません。でも、購入した商品に甘さが足りなければ砂糖や蜂蜜をかけたり、塩気が足りなければ塩や醤油をちょい足しできます。
さらに、もう一つ引き算して欲しいのは添加物です。息子の親子懇談会に行き周りの保護者のお話を聞くと、一括表示を見て余計なものが入っていないかチェックする人が増えました。実際、食品表示法における添加物の表示も別扱いになりました。それだけ消費者の関心は高いのです。こちらもぜひ引き算のものづくりを意識してみてください。
価格(消費者が買う価格)
バイヤーは取扱アイテムの価格相場「イメージ・プライス」をというモノサシを持っています。
商談時にみなさんの商品を見た時、このイメージ・プライスと比較して「何故、この価格なのか?」と聞かれることがあります。その理由についてきちんと説明できないと、適当につけた価格と判断されて商談は成立しにくくなります。決して高価格が悪いのではなく、説明できないことが悪いのです。
例えば大手メーカーは「安く」「効率よく」「大量」に製造します。一方で昔ながらの手造り製法にこだわっている老舗は、「手間がかかり」「少量」しか作れないため結果的に「高価」になってしまいます。こうした自社のこだわりや価格の整合性はきちんと伝えられるようにしましょう。
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