(YUIME株式会社 取締役 江城 嘉一)
第3回目の今回は、農家が直接雇用する特定技能1号登録支援サービスも含め、外国籍人材の活用方法について、さらに掘り下げてご紹介しましょう。
特定技能1号外国人を直接雇用するには
この連載の第2回で触れたとおり、YUIMEは厚生労働省が認可した「特定技能所属機関(人材派遣会社)」です。
したがって、就労を目的とした農業分野の「特定技能1号」外国人と雇用契約を結び、働き手を必要としている農家に、社員として派遣することができます。
(北海道・十勝地方の大根農家で働くYUIMEスタッフ)
弊社が雇用する特定技能1号の資格を取得した外国人は、日本で技能実習を2年10カ月以上経験した修了生ですから、即戦力として農家の期待に応えられます。そのことは前回紹介した、外国人で初めて現場リーダーに抜擢されたカンボジア人、ケン・チャンナラーの事例でもおわかりいただけたでしょう。
特定技能登録支援とは?
同時にYUIMEは「特定技能登録支援機関」の認可も受けています。これは、農家が特定技能1号外国人を派遣人員として受け入れるのではなく、直接雇用する際に、特定技能1号外国人の就労支援を代行する業務。技能実習生制度における監理団体のような役割です(※弊社は技能実習生の受入、監理はしていません)。YUIMEの特定技能登録支援サービスを利用する農家も増えています。
(登録支援機関としてのYUIMEの役割)
24時間、365日対応できる「特定技能登録支援機関」
農家が直接雇用するといっても、受け入れ機関(特定技能所属機関)としての認可を受けて、就労支援をすべて自前で行なうのは現実的には難しいもの。特にコロナ禍の今は、きめ細やかな対応が必要です。
特定技能1号の外国人の場合、事前に雇用契約内容や在留条件などのガイダンスをテレビ電話などで行う必要があります。そして、出入国時の送迎に始まって、入国時に義務づけられているオリエンテーション、住民票の登録や給与の振込先口座の開設手続きから、生活面でのケア、相談・苦情の対応に、出入国在留管理局へのさまざまな報告業務まで全面的なサポートが必要です。とても、農業の片手間にできることではありません。
(外国人初の現場リーダーになったケン・チャンナラーは、同胞からの信頼も厚く、仕事からプライベートまでさまざまなフォローをしている)
これらの業務代行を委託できる特定技能登録支援機関が存在します。しかし、ほとんどの登録支援機関では、24時間365日にわたって、こまめに支援することが難しい現状です。
しかしYUIMEは、自社で雇用している特定技能1号外国人材が多いため、労務管理経験が豊富です。
外国人材に対応できる専門スタッフや各国語の通訳の配置が、弊社との連携で可能になります。人間関係や生活面についても手厚くサポート。上司や同僚との意思の疎通の行き違い、外国人同士でのケンカなどを間に入って仲介し、双方の話を聞き、落としどころを詰め、アフターフォローも欠かしません。
外国人材が働く先の近隣コミュニティとうまくやっていくためにも、ゴミ捨ての方法といった日本での生活マナーもしっかりと教えます。勤務中のケガや病気はもちろん、夜間や休日の体調不良、住居のトラブルなどにも24時間体制で対応し、病院への付き添い、通訳などをサポートします。
(北海道の農園が用意した社員寮)
技能実習生終了後の通年雇用は?
たとえば、ある農家は年間を通じて技能実習生を受け入れ、夏場の2〜3か月の繁忙期だけ、YUIMEの特定技能1号外国人材の派遣を受けているとします。この場合、技能実習生は2号(3年)終了時に帰国します。その後の通年雇用をどうしますか?
ここで、弊社の登録支援サービスを利用し、農家で働いていた技能実習生を特定技能1号へ切り替え、引き続き農家で5年間直接雇用する、という選択肢が浮上するのです。
技能実習3号への切り替えは、1カ月以上の一時帰国が必要となりますが、特定技能1号への切り替えは帰国する必要がないので、在留資格の変更手続きを行うだけで、引き続き日本で働くことができるのです。
農家にとってみても、その農家独自の作業方法に慣れ親しんだ外国人材を手放すことなく、再び5年間も雇用できる大きなメリットがあります。
もちろん繁忙期は、YUIMEの特定技能1号の外国人材がカバーしますから、労働力の確保はバッチリです。
人材支援サービスか、それとも直接雇用か
では農家にとって、YUIMEに特定技能1号外国人材を派遣してもらうのと、直接雇用するのと、どちらにメリットがあるのでしょうか? 答えは簡単です。
派遣のメリットは期間が限定できること。もし特定の繁忙期だけ人材を増やしたいなら派遣をお勧めします。
これに対して、1年を通じて一定量の作業があり、そのための人材が必要なら、直接雇用して登録支援を利用するのがお勧めです。
年間ベースでコストを比較すると、9か月以上の仕事があるなら直接雇用、短期であれば派遣を使うのが得策、というのが目安になります。
(ピーマン農家で収穫作業中)
現場を見ると外国人雇用の不安は消える
そうはいっても、今まで外国人を雇用した経験が全くない農家にとっては、頭では理解できても「本当に大丈夫なのか?うまくやっていけるのか?」という不安はなかなか拭えず、二の足を踏むのも無理はありません。
YUIMEの取引先でも「日本人だけ」という条件付きで人材支援をさせていただいているクライアントがありました。ある日、たまたま農閑期に特定技能1号外国人が活躍しているほかの農場を見学していただいたことがあります。
すると、「とても熱心に働いている。しかもYUIMEの社員が面倒見てくれている。これなら絶対に大丈夫だ」と安心していただき、その場で次の年から外国人材に切り替えると決めていただきました。百聞は一見にしかず。現場をご覧になるのがいちばんだと思います。
次回は、農家が人材支援サービスを受けることで、どのようなメリットがあるのか、産地間連携のしくみを踏まえながらお話しします。(聞き書き:佐々木聖)
シリーズ『「人材支援」が結ぶ 経営と就農の新しい道』のコラムはこちら
YUIME(ゆいめ)は、農業の人材派遣・農作業受託を中心に第一次産業をサポートする企業で、産地間連携を基軸に作られた農業人材支援体制、サービスを提供しています。私たちは、全国の農家・事業者の必要な時に、必要なだけの労働力を支援します。また、登録支援機関として外国籍人材を受入れる企業が行うべき義務的支援を受入企業に代わり行うことも可能です。労働力不足でお困りの方は、コチラよりお気軽にお問い合わせください。
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