(エフピコチューパ株式会社 上原 英一)
アグリウェブ読者の皆様、こんにちは。
青果物用トレーや袋と言った出荷資材の製造販売を手掛け、農産業界に携わらせて頂いているエフピコチューパ株式会社と申します。
3回目の今回は、環境問題の解決に向けて、私たちにできる3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進について、トレー・包装の観点から書かせて頂きます。
そもそも環境問題とは?
環境問題という言葉を聞いたことがない人はいないと思います。では具体的に何か?様々な問題がありますが、一例を挙げるならば、環境汚染・自然保護・リサイクル・温暖化等です。ここまでを理解されている方は多いはず。
ではその対策をトレー・包装においてどのように推進するのか。これに関しては少し“ふわっと”した理解の方も多数いらっしゃる事と思います。この具体策は、非常に広い範囲を細部にわたり、それが地球規模での問題のため、大変難しいのです。
一企業(農家)一個人として環境問題の解決に貢献出来る事をしたい!そんな方に一番お伝えしたいのは3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進です。ですが3Rだけではまだ複雑で効果的な対応をすることが困難です。分かり易く実行しやすく貢献できるおすすめのキーワードは「CO2排出量削減」です。
3Rの推進プラス一般的な感覚も必要
CO2排出量削減とは、3Rより大きく限定したな!と思われる読者の方もいらっしゃるかもしれません。本件は効果的に対応するために何をするのか何を使用すべきか意外と難しいです。理由を記載するにあたり、トレー・包装業界を図解でお話しします。
トレー・包装の分野は、環境問題からもSDGsからもその使用量の多さから、「プラスチック問題」が最重要課題とされています。図1に示した通り、プラスチックが係る社会問題は大きく4つあり、海洋汚染・不適切な貿易・循環経済・脱炭素社会です。
(図1)
それを受けた環境省の政策動向が、図2の「プラスチック資源循環戦略」の概要です。なんとなく分かったような。。。気がしていただければ良いのですが。
(図2)
一つ明白なことは、リデュース・リユース・リサイクルの推進です。この3Rは国・自治体だけでなく、企業・専門家等、全ての方から否定意見はありません。正しい取り組みですので農業関係者の皆様も是非意識して頂ければ幸いです。
冒頭でも3Rと申し上げたのですが、この3Rはしっかり理解しないと効果の低い取り組み若しくは効果のない選択肢を選んでしまうかもしれません。
その「環境に優しい」は本当に優しい?
3Rで出来る取り組みはたくさんあります。これは非常にいいことでもあります。
環境に配慮した活動を分かり易く伝えるために、「環境に優しい」「地球にやさしい」などの言葉もよく耳にします。その政策を分かり易くすることは大事ですが、曖昧な表現であることも確かです。曖昧な用語を使って商品やサービスの販売促進をしている事例もあり、あまりに行き過ぎると、グリーンウォッシングと言う言葉まで存在します。
例えば、エコで環境に優しいというイメージを植え付ける表現や説明を行い、実際には消費者や企業に大きな誤解を与え、消費者の責任であるゴミの分別作業の放棄や「ポイ捨て」を助長しかねない事例もあります。
農業関係者の皆様に身近な例では、実際に農家の方から聞いた話ですが、得意先である青果物販売店から、容器や袋(フィルム)を使用せず、原体だけで納品するよう通達されたそうです。農家さんは非常に困っておりました。
勿論、不要な包装資材を無くすことは3Rの考え方として正しいのですが、この場合このやり方は間違いです。出荷資材をなくし原体だけでの流通させることは、葉物野菜や果皮の柔らかい果物などから鮮度保持効果を奪うことになります。これにより本来の味が失われる事や購入されないだけではなく、食品ロスにもつながります。
「環境に優しい」ことをしているつもりで「環境に冷たい」結果になっている例です。減らすこと(リデュース)だけが3Rではありません。必要なものは必要です。無くす必要はありません。3Rを推進するのであれば、流通に専用の通い箱・コンテナを使用する、リサイクル製品を使用するなどの対応が好ましいです。
要はバランスです。多方面から環境への配慮を講じた際に、一方から穿った見方だけではなく、バランスのよい対応を意識してみてください。
より良い3Rを見抜くには
本末転倒にならない環境対応をするには知識を持つことが大事です。知識があってもなくても、今後どのような環境取り組みをするか、どちらの環境製品を使用するか等、見極めなければならない機会があると思います。その際に一番確認して頂きたいことは数字的・科学的根拠です。
45%削減!20%投入!と言った数字はその数字に着目するのではなく、根拠に元づく効果に着目してください。何と比較し何がどれだけどうなるのか。そしてその根拠数字の算出方法に疑問点はないか。これが一番大事なことです。
その次がフレーズです。「環境に優しい」「地球に優しい」「グリーン」などという表記を付け“耳心地のよいフレーズ”に乗せられてしまうことも注意です。
次回は、環境対応その②として、環境問題の解決に貢献するキーワード「CO2排出量削減」について、詳しく話したいと思います。
シリーズ『トレー・包装のチカラ〜消費者が求める付加価値を掴む〜』のその他のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
公開日