(気象予報士 寺本卓也)
こんにちは農てんき予報士の寺本です。
今年の天気は、どこかおかしい。
6月に東北〜九州にかけて、観測史上最も早い梅雨明けが発表されると、7月に入り各地で記録的豪雨が頻発しました。
宮城では大雨特別警報が発表され、九州では線状降水帯が発生、畑や田んぼなど大変な被害が出ています。
天気の変化は極端で、農家さんにとって今後の予報は、より一層気になる所でしょう。
今回の農てんきは、今年の8月はどうなるか、いつも以上にしっかり天気について深く詳しくお伝えしていきます。
今回もぜひ最後までお付き合い下さい。
大雨でトマトが悲鳴
テレビユー福島の農てんきファームも、7月の大雨の影響を受けていました。
ミニトマトの実がひび割れていました。「裂果」という現象です。土にたまった水を急激に吸収し、実がどんどん大きくなり皮が裂けてしまったのです。
8月の天気がどうなるか、農作物の管理においてなおさら気になる所です。
では早速見ていきましょう。
ようやく大雨の終わりか 1か月予報
まず8月の降水量を見てみましょう。
全国的にほぼ平年並みの予想となっています。ようやく梅雨末期のような大雨は収まりそうです。
8月は危険な暑さ
続いて、8月の平均気温はどうでしょうか。
全国的に平年より高い予想となっています。暖かい空気に覆われやすく、いよいよ暑さが本格化しそうです。
40℃近い危険な暑さも出てくるおそれがあり、熱中症に厳重な警戒が必要となってきそうです。
そして今回は、もう少し各地の天気を詳しく見ていきます。
北日本 8月も曇りや雨の日多く
2週間先まで分かるウェザーマップオリジナル予報です(7月30日現在)。
北日本は8月に入っても曇りや雨の日が多く、晴れ間は貴重となりそうです。
一方で、日中の気温は各地ともこの時期より高い所が多く蒸し暑さが続きそうです。
東日本 晴れて猛暑に熱帯夜
東日本は、おおむね晴れる日が続く見込みです。
午後は不安定な天気となり、急な雷雨などには注意が必要です。
また、朝晩日中とも、とにかく暑くなりそうです。昼間は35℃を超える猛暑、また夜になっても25℃を下回らず熱帯夜となりそうです。
体に堪える危険な暑さとなりそうですから、熱中症には厳重な警戒が必要となるでしょう。
西日本 大阪・広島・高知・福岡
こちらも、8月は晴れて夏空が広がる見込みです。
予想最高気温は、35℃前後のうだるような暑さが続きます。
また最低気温が近畿や九州で27℃くらいまでしか下がらない見込みで、稲や野菜などの高温障害なども気になる所です。
台風・台風の卵にも注意
ここまで詳しく見てきても、ガラッと天気が変わる事があります。
それは台風です。
日本の南では台風の卵となる、まとまった雲がポコポコできています。台風が北上すると、天気予報が一気に大雨予報に変わる可能性もあります。
8月はいつ台風が発生してもおかしくない状況のため、台風、台風の卵の動きには十分注意する必要がありそうです。
日傘VS帽子 効果があるのはどっち?
さて今回は、8月の記事という事もあり、私は熱中症対策について詳しく知るべく環境省を取材しました。
そこで面白いお話を聞けましたので、皆さんに紹介したいと思います。
それは「日傘と帽子、熱中症効果の高いのはどちらか?」というユニークな実験です。
人工太陽に、気温30℃、湿度50%といった真夏の炎天下をイメージしたお天気部屋で実験です。
帽子を被った状態と、表面が白、裏が黒の日差しを99%カットする遮熱日傘をさした状態とでそれぞれ15分間歩行運動を2回、10分間の休憩をはさんで行われました。
熱画像を見ると、帽子を被った場合では頭部や首、肩に熱がたまっているのに対し、日傘をさした場合は、熱が日傘に集中しているのが分かります。
日傘は汗を17%減少
運動開始前と運動後の体重を測り、その差分を汗の量として計算します。
すると帽子を被って歩いた時に比べて、日傘をさして歩いた時は体重の減りが少なかったのです。
日傘をさして歩いた場合は、帽子に比べて汗の量を17%減らす結果となりました。日傘の熱中症対策効果は素晴らしいですね。
畑仕事にはコレ!農作業用日傘
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は最近は農作業用の日傘帽子が市販で売られています。
私も早速この日傘帽子を使って農作業を試みました。
実際に収穫してみた
すると強い日差しを遮ってくれるため、だいぶ暑さがしのげます。ただ、ちょっと見た目が恥ずかしくどこか笑える姿になっていますね。
でも心配いりません。誰も見てなんかいませんから。
おすすめアイテムなので、ぜひ皆さんも試してみてはいかがでしょうか。
ただ、まずは日中の作業を避ける事、こまめな水分補給や休憩を取る事が大切です。
厳しい暑さが予想されますので、万全な熱中症対策を心掛けこの夏を乗り越えていきましょう。
そして、さらに今回は8月以降の傾向も見ていきます。どうやら、ちょっと心配な予想が出ています。
9月も大雨の心配はなし?
まず、9月の降水量は平年並みの予想です。
気象庁は、西日本太平洋側と沖縄・奄美は、晴れの日が多く、北・東日本と西日本日本海側では、晴れたり曇ったりと変わりやすい天気のではないかと予想しています。
9月にかけて猛烈な残暑か?
そして心配なのが暑さです。どうやら今年は残暑が長引くかもしれません。
9月は東・西日本で平年より高い予想となっています。9月に入っても35℃を超えるような猛烈な残暑が続く可能性があります。
10月は台風シーズン到来か
一方で、10月の降水量を見ると東・西日本太平洋側、沖縄・奄美で平年並みか多い予想となっています。
この時期の雨と言えば、秋雨前線や台風が考えられます。大雨だけでなく、暴風などにも合わせて警戒する必要がありそうです。
10月まで暑さ続く?
さらに、気温は東・西日本、沖縄・奄美で平年並みか高い予想となっています。
もしかすると10月まで、暑さがしつこく残るかもしれません。
例年この時期から朝晩は冷えて霜の降りる所も出てきますが、今年は秋も暑くなる可能性があります。
今年は異常気象の1年となるかもしれません。
最新の天気予報をこまめに確認する事で、極端な天気から農作物を守っていきましょう。
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