(CCCマーケティング総合研究所 深井 翔)
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こんにちは。CCCマーケティング総合研究所の深井です。
7000万人を超えるT会員の多種多様なTポイント提携先での購買データ、外食グルメサイトの口コミ・Twitter・TVメタデータなど、様々なデータを分析し、抑えておくべき食のトレンドをさくっとお伝えします。皆様の事業のヒントになれば幸いです。
最近の3カ月(22年11月〜23年1月)の食のトレンドの推移を追っていたところ、気になるメニューが伸長していることがわかりました。
今回は、「ごはん類」(米飯カテゴリー)をテーマに、どんなメニューが流行っているかなどのトレンドをご紹介します。
最近3カ月で着目の「ごはん類」 ※期間22年11月〜23年1月
まず、「ごはん類」(米飯)カテゴリーのメディア・業態別の現状を分析しました。
「ごはん類」は、おにぎり類、オムライス、お茶漬け、カレー、ご飯、すし、チャーハン、もち、雑炊・粥・リゾット、世界のごはん、和風ごはん、丼物を指します。
前年に対し、Twitter、スーパー購買、コンビニ購買で伸長しております。
また、全体ではおにぎり類・丼物が伸長傾向ですが、一方でTwitterではすし・お茶漬け・カレー、スーパー購買ではチャーハン・すし・お茶漬け、コンビニ購買ではオムライス、カレーなど、メディア・業態で伸長しているカテゴリーには差がある点がポイントです。
メディア総合で見る新しいメニューの台頭
ごはん類の最近3カ月(22年11月〜23年1月)のメディア総合トレンドランキングを分析してみました。
メディア総合ランキングは、外食・TV・WEB検索・Twitterなどメディアにおける出現スコアを総合したトレンドランキングです。
幽霊寿司(山口県の郷土料理)、カルドソ(スペイン風雑炊)、チュモッパ(韓国のおにぎり)、マクブース(スパイスたっぷりのアラビア風炊き込みご飯)、インジョルミ(韓国のきなこ餅)、かはりめ丼(千葉県富津市のご当地アナゴ丼)、ミンチ丼(多色丼)、プラーオ(インド版ピラフ)、ひこぜん(五平餅に似た新潟三条市のご当地グルメ)など、上位にランクインしているものだけでも、様々な新しいメニューが台頭しています。
伸長メディア・業態別のトレンドを分析
次に、対象カテゴリー分類における、メディア・業態別のトレンドランキングを分析しました。赤枠は前項で伸長しているメディア・業態です。
Twitterは、寿司・丼物が伸長傾向(文字切れ:5位煮込みチキンカレー、10位アルマニチャーハン、15位チキンコルマカレー、16位会津ソースカツ丼)
スーパー購買は、丼物が伸長傾向(文字切れ:8位デミグラスオムライス、14位メンチカツカレー、15位ハヤシオムライス、18位チキンスープカレー、19位クリームオムライス)
コンビニ購買は、ドリアが伸長傾向(文字切れ:2位オムライスドリア、6位チーズトッポギ、8位チャーシューごはん、19位チキンスープカレー)
前述のトレンド分析で気になる個別のメニューについて、深堀りしてみました。
チュモッパ 時系列グラフ
チュモッパは、漬物や韓国のりなどを混ぜた一口サイズのおにぎりです。やみつきになる美味しさ、と評判のチュモッパですが、22年10〜23年1月でメディア・流通共に伸長してます。韓国発のメニューはトレンドになりやすいため、今後の動きが注目のメニューです。
レモンライス 時系列グラフ
インド南方で親しまれているレモン風味の米料理であるレモンライス。カレーと合わせることが基本ですが、ガパオライスのような食べ方やスパイスチキンと合わせる食べ方など、活用法も様々です。そんなレモンライスですが、時系列でみると、過去の伸長から落ち着いていますが、一定の需要はあるのか、前年に対しては伸長しているので、今後、食卓に定着するかが着目です。
クリームオムライス 時系列グラフ
クリームシチューとオムライスを合わせたクリームオムライスです。2022年11月に冬に向けたオムライスの食べ方として、流通の惣菜商品や外食の話題メニューとして取り上げられており、下記でも外食・Twitter・Web検索で伸長しております。米飯カテゴリーでは、定番メニューを新しい食べ方を浸透させることで、市場の刺激を狙う動きが増えているため、着目のメニューとしました。
アルマニチャーハン 時系列グラフ
またも韓国発のメニューです。鉄鍋で焼き上げる韓国版のチャーハンのアルマニチャーハンですが、Twitter・TVで伸長しておりますが、流通・小売業態にはまだ波及していないトレンドになるかの種の段階のメニューです。
チャーハンカテゴリーは、スーパー購買や外食オーナー店口コミで伸長しているので、どのように領域拡張していくのかが着目ですが、その1つの可能性としてアルマニチャーハンのような韓国発はポイントかもしれません。
他人丼 時系列グラフ
他人丼とは親子丼の対比で、鶏肉以外の牛肉や豚肉を鶏卵でとじて飯の上に乗せた丼物です。こちらも、前項のクリームオムライス同様に、定番から拡張することで、新しい客層や間口拡大が狙える可能性があるため、着目しました。
現状は、前年に対して伸長しているメディア・業態が多いので、今後の動向に着目といえるメニューです。
サクッとわかる米飯のトレンドより
今回のごはん類(米飯)のカテゴリーのトレンドでは、定番のメニューから、ご当地・海外発・新しい食材の組み合わせといった新しいメニューが多く台頭している結果になりました。
また、米飯カテゴリーが伸長しているTwitterやスーパー・コンビニ購買でも、それぞれの客層・ターゲットの違いから伸長しているカテゴリーやメニューが大きく異なる点も着目ポイントです。
コロナを経て、弊社調査においても、朝・昼・夕食の個食化(1人で食べる)や、手頃なハンズフード、1プレート、小さいポーションでの提供など簡便で手軽な形式の伸長といった様々な喫食ニーズの変化が起きていると感じております。
そういった変化から、ごはん類のメニューのトレンドはどんどん変化しておりますので、今後も目が離せないジャンルです。
皆様の事業のヒントになったら幸いです。
以上
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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