「GAPって面倒くさいよね」
農業を営む中で「GAP」という単語を耳にしたことはありませんか?
東京オリンピックが開催された際には、選手村で提供する食材はGAP認証を取得したものしか取り扱えないなど、新聞やニュース等で大きく取り上げられました。
そのようなニュースを見て、いざGAPに挑戦するぞ!と意気込んではみたものの、認証取得のための資料の準備や農場内でのルールの周知に苦慮するなどの壁にぶつかり、結果的に挫折したという農家さんも多くいらっしゃったのではないでしょうか。
そして、そうした経験や他の農家さんの話を見聞きしたことで、「GAP = 面倒くさい」というイメージが印象付けられてしまったかもしれません。
しかし、GAPに取り組むことで多くのメリットを享受できることも事実です。
本コラムでは、GAPに取り組むメリットをご紹介しつつ、ウォーターセル株式会社(以降、弊社)が提供する営農支援ツール「アグリノート」を活用することで、GAPに取り組む際の面倒な作業を効率的に進める方法をご紹介します。
そもそもGAPってなんだっけ?
GAPとは、Good Agricultural Practicesの頭文字をとった言葉で、直訳すると「よい農業の取組」という意味になります。
言い換えれば「農産物を作る際に適正な手順を守り、モノの管理を行い、持続可能性を確保する取組」のことを指します。
さらに、GAPの取り組みは次の5分野に細分化されます。
●食品安全の取組
→農産物の汚染や異物混入の防止など
●環境保全の取組
→化学農薬・化学肥料の使用量低減など
●労働安全の取組
→農作業の安全確保や健康状態への配慮など
●人権保護の取組
→労働環境の整備や労働条件の遵守など
●農場経営管理の取組
→責任者や役割分担の明確化や教育訓練の実施など
GAPに取り組むメリットとは?
GAPに取り組むメリットは、「生産工程における様々なリスクを洗い出し、絶えず改善を行う農場になること」だと考えます。
農業を営む中で、生産者は多くのリスクを想定しなければなりません。
まずは、食品安全に関するリスクです。農産物が原因となる食中毒や異物混入による事故や怪我が起きれば、一農家の評価だけでなく産地全体にも大きな被害をもたらしかねません。
そのような事態を避けるためにも、交差汚染が起きそうな場所のレイアウトの変更や衛生管理の徹底など、生産過程における食品安全リスクを踏まえた上で対策を講ずることが必要となります。
また、労働安全に関するリスクもあります。農業は年間200人を越える農業従事者が事故に巻き込まれて死亡するという危険な産業でもあります。事故で大怪我を負って農業経営の継続が難しくなるケースも珍しくありません。
そのような事故を未然に防ぐためにも、安全具の適切な使い方を周知する仕組み作りや、農作業事故の起こりそうな危険な箇所を事前に把握することが求められます。
さらには農業を持続可能な産業とするためにも、農場の周辺環境も含めた環境保護の観点や作業者が安心して作業を行えるよう配慮する人権保護の観点についても、農場内のリスクを評価して絶えず改善しなければなりません。
このように生産工程で起こりうる様々なリスクを評価し、それに対する改善策を絶えず実施する仕組みを農場内で作ることで、結果的に農産物の安全性の確保や持続的な農業経営に繋がります。
これこそがGAPに取り組むことの最大のメリットだと考えます。
参考:農林水産省『GAPがもたらすメリット』
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/attach/pdf/online_kensyu-16.pdf
「GAPに取り組む」こと、「GAP認証をとる」こと
GAPに取り組むメリットは把握しているものの、GAPの話題が挙がるとよく耳にするのが「GAPはお金がかかる」というコメントです。
確かに「GAP認証をとる」ためには第三者機関の審査を受ける必要があるので審査費用がかかりますし、認証取得にあたりコンサルタントのサポートを受ける場合は、さらに追加で費用が発生します。
しかし、GAPには農業を営む上での大事なノウハウがたくさん詰まっています。
そこで、いきなり認証取得を目指すのではなく、まずは生産者ができる範囲でGAPを実践する(=「GAPに取り組む」)ことをおすすめします。
GAPの何が面倒くさいと言われるのか
GAPの取り組みを進める中で、様々な書類や帳票を準備する必要がありますが、その準備が面倒と感じる方が多いようです。
例えば、GAPの管理点の中で管理圃場の見える化や圃場における危険箇所の周知が求められます。これに対して、白地図を広げて管理圃場をペンで色付けして管理する方法もありますが、管理圃場の更新時に一から圃場マップを作る必要が発生するなど、紙で管理するが故の面倒が起こります。
さらに、GAPでは日々の作業内容を適切に記録・管理することを求められますが、手書きのノートやメモ帳の管理だと記録を振り返る時に探しづらかったり、急いで書いた文字が読めず内容が把握できなかったり不便が生じます。
GAPの「面倒くさい」をアグリノートで効率化!
前段で紹介したGAPの面倒くさいと感じられる点をアグリノートで効率化する方法を紹介します。
アグリノートで圃場を管理!
管理圃場の見える化(農場地図の作成)や危険個所の周知については、アグリノートで圃場を管理して、パソコンやスマートフォンからいつでもどこでも圃場の場所を確認できるようにすると良いでしょう。
管理圃場が増えたり手放したりした場合の管理も、アグリノートの設定を変更するだけで簡単に行えます。
<パソコンブラウザ版アグリノートのマップ画面>
また、圃場を作物別に色分けすることや、所有者の情報など細かな情報まで管理することもできます。今までのように白地図を広げて圃場を確認するのではなく、アグリノートで手軽に圃場の管理を行ってください。
作業記録で作業時間や使用資材を記録する!
アグリノートで作業記録を作成することで記録することで、いつどんな作業を誰が行ったのか、どんな農薬・肥料を散布したのかなど細かい記録の作成・管理を行うことができます。
<パソコンブラウザ版アグリノートの作業記録作成画面>
また、作業記録をこまめにつけていくと、圃場単位で使用した資材の合計を確認できたり、栽培履歴のような帳票類をアグリノートから出力できたりするようになります。
<パソコンブラウザ版アグリノートで圃場単位の記録を振り返る>
<アグリノートから出力される栽培履歴>
このようにアグリノートで記録を付けることで、ノートやメモ帳に記録していた時の振り返りのしづらさや、手書きのメモが読み取れず内容がわからないといった不便もスッキリ解消できます。
本コラムでは、上記以外にもGAPの取り組みにおけるアグリノートのより具体的な活用方法を、GAPの管理点やテーマに沿ってご提案します。
GAPに興味はあるがアグリノートをまだ導入されていない方、また既に導入されている方にも、引き続きお読みいただけたら幸いです。
どうぞよろしくしくお願いします。
《参考資料》
農林水産省「これから始めるGAP」
https://gap.maff.go.jp/
弊社ではGAPの取り組みをサポートします!
●GAPの取り組みにおけるアグリノート活用セミナーを行っています!
- GAPの管理ポイントに合わせたアグリノートの活用事例セミナー
GAPで求められる管理項目をアグリノートで管理する際に気をつけるポイントを、活用事例をもとにご紹介するアグリノートオンライン講座です。
▶これからGAPに取り組む方
▶すでにGAPに取り組んでいる方
▶GAPについて情報を集めている方
是非ともご参加ください!
参加申し込みはこちらから↓
https://agri-note.zendesk.com/hc/ja/articles/16403615567641
●GAPに興味のあるモニター生産者を募集しています! ※モニター募集は受付終了いたしました
- 営農支援ツール「アグリノート」は農林水産省の「GAPの取組を通じた生産工程管理ツールの活用支援事業」に採択されましたので、本事業にご参画いただけるモニター生産者を募集しております。
GAPの取組を通じた生産工程管理ツールの活用支援事業
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_tool.html
[参加条件]
▶本取り組みの目的を理解し、モニターとして協力いただけること
▶申請いただいた情報を各都道府県と共有し、当該指導員より国際水準GAPの指導が受けられるよう配慮いただくこと
▶アグリノートの活用アンケートにご協力いただくこと
▶GFP農林水産物・食品輸出プロジェクトへの登録を検討いただけること
GFP農林水産物・食品輸出プロジェクトHP https://www.gfp1.maff.go.jp/
▶アグリノートの有料プランを申込済み、または利用中であること
[募集組織数] ・先着300組織
[参加特典] ・ 営農支援ツール「アグリノート」の利用料が1年分無料
・ 「アグリノート専用 在庫管理Excelツール(試用版)」の配布
・ 国際水準GAPの取組に向けた「アグリノート」活用コンテンツの提供
[参加申し込みフォーム]
https://docs.google.com/forms/d/1CH1a7skTgUunjQvbCpcKR1pjk-cF5NhfGfaoPrFXjzc
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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