栽培ノウハウの記録は財産。でも、手書きの記録で活用できますか?
農家さんにとって自身が積み上げた栽培のノウハウは、何物にも変え難い財産であると言えます。
この作物はいつまでにこの作業を終えていなければならない、肥料や農薬を散布する時にはこれぐらいの散布量で行う、さらには、農機を扱うときにPTOの回転数はいくつで車速はどのくらいかなど、農業におけるノウハウは多岐に渡ります。
そうしたノウハウは多くの場合、日々の作業内容を記録することで保存し、必要な時に見返すものでしょう。
農家さんの中には、日々の作業内容をノートやメモ帳に手書きで記録している方もいらっしゃいます。
確かに、ノートやメモ帳に記録を残せば、いつ・どんな作業を行ったのかを振り返ることで翌年の作業計画を立てる際に役立ちますし、何より日々の作業内容が目に見える形に残るので、次の世代が継いだ時に大変参考になる資料であることは間違いありません。
しかし、農家さんとお会いすると、「文字が汚くて父親の作業日誌が読めない」、「農薬の液剤量や散布量の単位が記入されていなくて、どのくらい散布すればいいかわからない」など、手書きの記録に対するお悩みをよく聞きます。
次の世代に積み上げた栽培ノウハウを伝承するためには、日々の作業内容を記録する際に「いつ・どんな作業を行ったのか」、「散布量はどのくらいか」などの情報を正しく伝えるための工夫が必要になります。
次の世代に情報を正しく伝えるためにも、日々の作業記録をデジタル管理することをおすすめします。例えば、日々の作業内容をパソコンやスマートフォンで誰もが見やすく、いつでも、どこでも内容を確認できるような仕組みで管理をしておくことで、栽培ノウハウを正確かつ容易に次の世代に伝達することができ、結果的に短い期間で栽培ノウハウを習得することにもつながります。
GAPで求められる記録の細かさ
さて、GAPの取り組みにおいても、記録は重要です。
GAPに取り組む際には、いつ・どんな作業を誰が行ったかという作業の記録はもちろんのこと、農薬や肥料を散布した際には希釈倍数や液剤使用量、散布の際に使った機械などを細かく記録する必要があります。
引用:ASIAGAP_農場用管理点と適合基準ver2.3改定1版_穀物
これらの細かい情報をノートやメモ帳で記録・管理することは不可能ではありませんが、前段でお話ししたような単位の抜け漏れだけでなく、記録を振り返る際にとても手間がかかります。
数年分も記録が溜まってくると、該当ページを探すのに苦労したり、かさ張って保管が面倒になったりと、手書きのメモを管理する煩雑さもあります。
特にGAP認証を取得する際には、GAPの審査員が作業記録等の記録を適切に管理しているかを確認します。
その際に、文字が読みづらくて審査員が記録の内容を判別できないということのないように、第三者に見やすい形で記録を残しておくということが大切です。
日々の作業記録の管理を容易にするため、あるいはGAPの審査員のような第三者に情報を正しく伝えるためにも、記録のデジタル管理がおすすめです。
そして、そのようなデジタル管理を実践する際には、パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも記録の作成・振り返りができるアグリノートが役立ちます。
アグリノートで作業記録はこう見える
アグリノートでは、パソコン・スマートフォンからいつでも作業記録を作成でき、圃場に対して行った作業の内容、作業者の作業時間、農薬・肥料・資材の使用量、さらには機械の稼働時間まで細かく登録することができます。
作業記録の内容は、圃場ごとに集計されるので、その圃場に対していつ・どんな作業を行ったのかを見やすく振り返ることができます。
(パソコンブラウザ版アグリノートの「記録を見る」画面)
また、アグリノートで作成した作業記録は、カレンダー形式でも振り返ることができるので、どの時期にどんな作業を行ったのかを一目で把握できます。
さらにカレンダー画面では、作業項目や使用した農薬・肥料、作業者を選択して、表示する作業記録を絞り込めるので、記録を振り返る際に特定の情報のみを閲覧したい時にも役立ちます。
(パソコンブラウザ版アグリノートのカレンダー画面(月単位表示))
カレンダーは月単位と週単位で表示を切り替えられます。
表示を週単位にすると過去2年間の同じ週を表示でき、直近に行った作業が過去2年間よりも進んでいるのかどうかを把握した上で、今年の作業進捗を確認することもできます。
(パソコンブラウザ版アグリノートのカレンダー画面(週単位表示))
作業記録をつける前に
アグリノートで日々の作業記録を作成するためには、前回のコラム で紹介した圃場の設定と、「どこに、何を植えているか」を管理する作付の設定を行う必要があります。
アグリノートでの作付の設定方法については、こちらの動画をご覧ください。
【必須設定】アグリノート|作付の登録
また、作業を行なった人や農薬・肥料の名称と散布量、使用した機械の名称などを細かく記録するには、農場のスタッフや使用する資材類、機械をあらかじめ登録しておく必要があります。
登録に手間がかかりますが、この事前設定を行うことでGAPの取り組みにおける必要な情報をしっかり記録できるようになるので、是非とも登録を行なってください。
詳しい登録方法については、こちらの動画をご覧ください。
作業記録をつける際のポイント
アグリノートの作業記録の基本的な作成方法については、下記の記事をご覧ください。
https://agri-note.zendesk.com/hc/ja/articles/900005128383
それではここで、GAPに取り組む際の《アグリノートでの記録作成のポイント》をご紹介します。
① 作業者の作業時間の入力方法
アグリノートでは作業記録で作業者ごとの作業時間を入力することができます。
記録の仕方には、作業の開始・終了時間を入力する「時間で入力」と、1日の作業の合計時間を入力する「時間で入力」の2種類があります。
(パソコンブラウザ版アグリノートの作業記録作成画面(作業者))
GAPの取り組みにおいては、作業の開始・終了時間を入力する「時間で入力」で作業者の作業時間や休憩時間を記載することをおすすめします。
GAPの適合基準では、人権保護の観点から労働条件を文書等で明示した上で、その労働条件を遵守することを求めています。
引用:ASIAGAP_農場用管理点と適合基準ver2.3改定1版_穀物
このような管理点に対して、アグリノートで作業記録を作成する際には「時間で入力」を選択し、休憩時間を含めた細かい作業時間を入力することで、作業者の労働時間が適切であることや休憩時間をしっかりと確保していることを証明する資料にもなります。
②農薬・肥料の散布量の入力方法
アグリノートの作業記録では、農薬や肥料の使用量を記録することができます。
例えば、希釈が必要な肥料や農薬や肥料を散布した作業を記録する場合では、まず「希釈:あり」を選択します。
次に、「入力方式」で全体量、もしくは10aあたりの散布量で入力するかを選択します。最後に希釈倍数と希釈後の散布液量を入力すると、農薬使用量が自動で計算されます。
(パソコンブラウザ版アグリノートの作業記録作成画面(農薬))
希釈しない農薬や肥料については、最初に「希釈:なし」を選択すれば、希釈倍数等を入力せずに10aあたりの散布量などを記録できます。
(パソコンブラウザ版アグリノートの作業記録作成画面(肥料))
GAPの取り組みにおいては、肥料の散布記録も作成することが求められるので、散布した肥料名や散布量もアグリノートでしっかりと管理しましょう。
引用:ASIAGAP_農場用管理点と適合基準ver2.3改定1版_穀物
以上のように、アグリノートの機能を活用すれば、農薬の希釈倍数や散布液量、肥料の10aあたりの散布量といったGAPで求められる細かい散布記録にも対応することができます。
ここまで、GAPの取り組みにおいては、作業者の作業時間や農薬・肥料の散布記録などの細かな管理が求められることと、そうした記録の管理はデジタルで行うべきであり、それにはアグリノートが役に立つことをお話ししました。
アグリノートで記録することのメリットは、使用した資材の使用量など、GAPの取り組みにかかせない記録を細かく管理できるだけではありません。
どの時期にどんな作業を行なったのか、どの時期にどのような肥料・農薬を散布したのかという栽培ノウハウを、パソコンやスマートフォンで確認ができる、さらにはその情報を次の世代が読める形で残せるということが最大のメリットだと考えます。
是非とも、アグリノートを活用し、日々の作業記録をデジタルで管理して、次の世代に栽培ノウハウを残していきましょう。
次回は、作業記録の応用的な使い方と、積み上がった作業記録を集計・出力して活用する方法をご案内したいと思います。
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