(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。
今年の暑さは本当に異常ですね。広島市では、9月19日に35.7℃、今年に入って45回目の猛暑日となりました。平年は1年に8回が猛暑日の平均日数なので、今年の暑さがどれ程凄かったかが分かります。暑さの影響で野菜の生育不良が目立ち、依然として相場が高騰している状況が続いています。
一方で先月21日には能登半島で豪雨となるなど、今月も大雨に油断できません。台風の発生しやすい状況もまだまだ続いています。今回も最新の農業に役に立つ「農てんき」な情報をわかりやすく楽しく、たっぷりお届けします。では、今月も元気よくスタートです。
10月もしつこい暑さが続く
気象庁発表による1か月予報(平均気温)を見ていきます。驚く事にまだまだ気温が全国的に高い予想となっています。さすがに10月ですから35℃以上の猛暑日が続出するような事はないですが、30℃以上の真夏日は西日本などを中心に観測されそうです。
晴れる日は秋の柔らかな空気に包まれるのではなく、突き刺すような真夏並みの強い日差しが見込まれます。暑さや強い日差しにより、野菜の葉っぱもげんなりしてしまうかもしれません。今月も温度管理に十分注意が必要となりそうです。
太平洋側で大雨のおそれ
こちらは、1か月予報の降水量です。
東・西日本の太平洋側を中心に雨量が平年並みか多い予想です。特に注意して欲しい期間は、今月1日〜11日頃にかけて雨の日が多くなるかもしれないとしています。要因としては秋雨前線の影響が高く、また海面水温もまだ高い状況が続くので台風にも気をつけたい所です。
秋雨前線+台風による大雨・暴風警戒
先日、私は広島県西区で子供向け防災ミニ講座を開きました。そこで覚えて欲しい天気図として紹介したのがこちらの画像です。秋雨前線と台風が一緒にくるような天気図です。
以前もお伝えしましたが、今月もこの天気図になりやすく注意が必要なのです。先月能登半島では、特別警報が発表される豪雨となりましたが、その原因となったのも、まさに台風14号と秋雨前線でした。台風からの暖かく湿った空気が秋雨前線に流れ込む事で活発な雨雲が作られ大雨となります。
台風の動きに注意
今月はじめに台風や秋雨前線により沖縄・九州などでは大雨・暴風などにより大荒れの天気となるおそれがあります。また海の温度予想は、10月下旬にかけても例年よりかなり高い状態が続くため、この先も台風が日本に接近する時は勢力を保ったままやってきそうです。今月も大雨・暴風にまだまだ警戒です。
11月はようやく秋らしく
今回は、気象庁の3か月予報で11月の平均気温も確認していきましょう。
11月に入ると東・西日本はおおむね平年並みの気温でようやく秋らしい肌寒さがやってきそうです。一方で、東北と北海道は平年並みか高い予想です。この時期に暑いという事は考えづらいですが、日中は長袖一枚で過ごせるような暖かい日が待っているかもしれません。今年の秋はどうやら短いものとなりそうです。
12月は急に冬 暖冬ではない
続いて、12月の平均気温です。
全国的に平年並みの予想となっています。暖かくも寒くもないという事ではありません。この時期は寒いのが当たり前ですから、12月らしい冬の寒さがやってくるという意味となります。急に冬がやってきたという感覚になりそうですね。
また、これまでが異常に暑かったからといって、冬もこのまま暖かいだろうという事ではないという意識を持っておく必要があります。
今冬は日本海側で大雪か
さらに皆さんにお伝えしたい情報があります。それは「寒候期予報」です。なんだか難しい名前ですね。実は気象庁は、毎年9月に今年の冬がどんな天気や気温、雪の量になるかの見通しを発表しています。要するに冬の天気はどうなるかを早めに予想しているのです。
それによると、今シーズンの冬は日本海側で雪の量が多くなると見込んでいます。
今冬は寒波がきやすい
ではなぜ、日本海側で雪の量が多く予想されているのでしょうか。そもそも今年は厳しい暑さが9月に入っても続いたのに、この先大雪が降るとはなかなか考えづらいですよね。そのあたりをイラスト図でわかりやすくお伝えします。
まずこの先はインドネシア付近の海が暖かくなる予想です(ラニーニャ現象発生により)。するとこの付近で雲が発達します。
この雲により上昇した空気が、大陸の高気圧を強めます。すると偏西風は平年に比べて蛇行が強まります。
日本付近には偏西風が南に下がって流れるため、大陸からの冷たい寒気も一緒にやってきます。寒波が来やすく日本海側で大雪となる予想はこのためです。
「テレビ派ふぁーむ」から天気を伝える
この秋、広島テレビの夕方情報番組「テレビ派」の中で、「テレビ派ふぁーむ」のコーナーを定期的に放送する事になりました。こちらはその番組で育てている赤大根です。
先月のコラムでも書いていますが、8月下旬に種を撒くものの猛暑でなかなか芽が出ず焦りました。9月に入っても猛烈な暑さが全く収まらないため遮光ネットをかけて暑さ対策を施しました。
暑さで葉っぱはげんなり
9月も暑い日が続きますとお伝えしましたが、まさか先月下旬までほぼ毎日晴れて猛暑日が続くなんて、さすがに予想以上でした。
大根は暑さに弱いです。日陰にプランターを移動したりしましたが、まだ湿度も高くサウナのような蒸し暑さが連日続いていたので、この大根達の生長も止まってしまいました。
日々この暑さに耐えて生きていくのに精いっぱいだと言っているようで、実際に野菜を育てる事で今年の異常な暑さの悪影響が新たな視点で伝わってきました。
猛暑の中で人参の芽が出る
そんななか、人参の芽が出ました。
9月20日まで最低気温も平均が26℃と連日熱帯夜が続いた広島ですが、なんとか頑張って芽を出してくれました。とても嬉しいですが、人参としては出る時期を間違えたかなと思ったかもしれません。
現在はだいぶ朝晩は気温が落ち着いてきたので、なんとか育って欲しいなという想いでいます。この野菜達の生長を通して、私自身この異常気象にどう立ち向かっていくか試行錯誤していけたらと思います。
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