(株式会社Agriee)
本シリーズでは、実際に寄せられた相談の事例を交えながら、栽培管理や土づくりのポイントを解説して参ります。
今回は、実際にどんなご相談を頂く事例が多いのか、ご紹介させて頂きます。
① 良い土を作りたい!
やはり、これが一番良く頂くご相談です。基本的な進め方は前号までに記載した通りですが、一人で進めるのは不安…という場合は専門家に相談しましょう。
私たちにご相談頂いた場合は、土づくりを始める前の段階の、「どんな作物を作りたいのか」「誰に、どうやって販売していこうと考えているのか」といったコンセプトから考え、整理しながら進めます。
そのため、出来るだけ早い段階でご相談頂きたいというのが本音のところです。土づくりは一夕一朝で出来るものではなく、時間をかけて取り組んでいくものなので、最初の段階で方向性を決めておくことは、とても大切です。
② 品質を上げたい!
「良い土を作りたい!」に付随して、作物の品質を上げたいのだけれど、どうしたらよい?というご相談も頂きます。これについては、「糖度を上げたい」「硝酸を減らしたい」「ツヤを出したい」など、具体的にどんなところを向上させたいのか、に落とし込むことで対応方法を見出します。
例えば、「見た目が悪いので、白菜のゴマシオ(ゴマ症)を減らしたい」であれば、窒素の施肥量を減らす、または、窒素が吸収されにくい環境を作ることで対応していきますし、「白菜の糖度を上げたい」であれば、化成肥料よりも有機質肥料の施用を多くする、畑で寝かせる期間を長くする、等の対策を取っていきます。
具体的な目的に落とし込むことで、取るべき対策も見えてきます。
③ 野菜の様子がいつもと違う…
「なんだか様子がおかしいぞ???」というタイミングでご相談頂くことも多いです。そんな時はまず、畑の状況(作物の様子、土の状態など)を確認させて頂きます。その後少しずつ、それまでの状況をヒアリングしながら、状況を紐解いていきます。
ヒアリングの中で、「そういえば、定植した後に雨が降っていなかったな…そう考えると、冠水が十分にできてなかったかも!」などと、作業履歴を振り返りつつ、ご自身で答えを見出される場合もあります。
「いつも通り管理していたのに、葉先の黄化が頻発し始めている」といった場合は畑の様子を注意深く観察し、原因を推察します。畑のどのあたりに黄化が多いのか(全面的なのか、ところどころなのか、一部だけなのか、など)を観察し、水管理の可能性、養分不足の可能性を考えていきます。
原因を考えつつ、出来る対策も考えます。養分不足の可能性が高ければ、追肥のみでなく、葉面散布等で補うことも視野に入れます。原因究明にばかり時間をかけるのではなく、出来うる限りの対策をとることで、作物を出荷できる状態に持っていけるように努めます。
また、これもとても大切なことなのですが、この時の記録をとっておくことを強くお願いしています。どんな症状が出た時に、どんな対策を取って、どうなったのか、の記録は、とても重要な知見となって次作以降に活かすことが出来るようになるからです。
未曽有の事態…、対応できる術は必ずある!
ここのところ、異常気象の影響で全然先が読めない、というお話をとてもよく伺います。異常気象の影響が、今後、今以上により色濃く表れてくることは間違いがなく、未曾有の事態にいかに対応していくかがこれからの農業のキーとなってくることは間違いがありません。
いつ、どこで、何が起こるか分からないこの事態に対応する術などあるのだろうか…と、不安に思われることもあるかもしれません。これに対する私たちの答えは、「対応出来る術は必ずある!」です。
正直なところ、数カ月前までは私たちも不安に思っているところが強くありました。こんなにお天気がガタガタに崩れてしまって、栽培計画も全く成り立たなくなってしまって、本当にこの先も作物を安定的に作り続けることなど出来るのだろうか・・・と。
ただ、生産現場の皆さんのお話を伺い、種苗会社、肥料会社の皆さんのお話を伺い、スタートアップの皆さんのお話を伺い、現場の様子を注意深く観察して、としていく中で、「対応出来る術はあるんだ!」と強く思うことが出来るようになりました。「異常気象に強い土づくり」も、可能であると考えています。
もちろん簡単な事ではありません。それでも、現場の観察を丁寧に続け、知見を蓄積し、新しい技術もどんどん活用していくことで、必ず実現出来ると考えています。
生産現場では、「自分たちの経験はもう通用しないのかも…」と諦めかけているベテラン生産者さんもいらっしゃるとも伺います。そんなことは無いです。皆さんの知見から、次につながる技術を生み出すことが出来るようになるのです。
諦めずに取り組んでいく、そのためのお手伝いを、私たちでさせて頂きたいと思っています。
シリーズ『相談事例に学ぶ!栽培管理と土づくり』のコラムはこちら
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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