初めまして。
株式会社ハレックスの酒井紀子です。株式会社ハレックスは様々な気象情報を取り扱う総合気象会社です。私は気象予報士として主に農業分野の営業を担当しています。このコラムではこれまで多くの方々からお話を伺い活動してきた中から、農業に関わる方々が気象情報を上手に利活用するためのポイントをお伝えしていきたいと思います。
初回にお伝えするのは「攻めの農業のための気象情報の利活用」についてです。
「何のために」「どのような情報」を入手するのか?
農業に関わる方々は毎日何らかの方法で天気予報を確認し、その日の作業や翌日以降の様々なスケジュール等を決める参考にされていることと思います。新聞、テレビ、パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット。無料、有料問わず、どの情報をどこから入手し、どのように利活用するかはそれぞれの判断で構わないと思います。ただ、「何のために」「どのような情報」を入手し、使うのか。これだけははっきりとさせたほうがいいでしょう。
弊社に気象情報に関してのお問い合わせをいただいた際、どのような情報をご利用になりたいかはもちろんのこと、必ず何のために使うのかをお聞きしています。なぜなら、もしかしたらお客様がお考えになっている情報よりももっと相応しい情報が他にあるかもしれないし、その情報をストレートに使わず少し加工するなど、使い方を少し工夫するだけで、もっとお客様にとって価値のある情報になるかもしれないからです。
「何のために」。これはとても重要なことです。また利用者側が「どのような情報」が欲しいのかをきちんと把握しておくことももちろん重要です。気象情報と一口にいっても実にたくさんあるのです!
例えば「気温」。単に気温が欲しいと言われると、とても困ってしまいます。
まず、予測ですか?過去データですか?最高気温ですか?最低気温ですか?毎時の気温ですか?日平均気温ですか?+過去データの場合、いつ(何年何月何日)のデータですか?予測の場合、きょうのですか?あすのですか?1週間先までですか?1か月先までですか?お客様を質問攻めにしてしまうこともあります(笑)。気温だけでなく他の要素に関しても同じです。
「何のために」「どのような情報」、一例を示すと
- ○○の作業を行うために⇒晴れるのか雨が降るのかを確認する⇒雨が降る場合、時間帯を確認する、雨の降り方(強弱や量)を確認する⇒作業内容、時間を決定
- ●●の出荷日を予測するために⇒□□と■■の情報を入手⇒いつ●●を出荷できるか計算する
- 台風(大雪)から施設を守るために⇒影響がでる日時を確認する⇒どのような影響か確認する(雨・風・雪)⇒対策を決定する
- 作物の生育状況を把握するために⇒過去の気温データと比較する⇒過去と比べて生育の進み具合遅れ具合を把握する⇒作業を決定する
上記はほんの一例です。気象現象は日々様々ですので、その様々な気象現象に対応する作業を日々行うのは大変なことです。生産者の皆様は日々天気と戦っていらっしゃることでしょう。でも・・・戦うだけでしょうか?
先日ある農業法人の方とお話をしていてとても印象に残った言葉があります。「失敗を天気のせいにしたくない」。事前に気象情報を入手できていれば防げたことがあったかもしれない。だから気象情報を活用したい、とご相談をいただきました。まさにその通り。私の農業に携わる意識が大きく変化した瞬間でした。
「アピネス/アグリインフォ」で利用可能な降水情報
農業分野を担当する前は防災分野に関わることが多かったのですが、防災はどちらかというと防ぐこと、命・財産を守ることがメインであり、準備した気象情報システムは使われないことがベストです(災害が起こらないことがベスト)。しかし、農業は美味しい農作物を作り、稼ぐ。そして消費者は美味しい農作物を楽しむ。生み出し楽しむ産業だと思うのです。そのためには日々詳細な気象情報を使いつくすべきと考えています。気象情報は守るためだけでなく、攻めの農業にも使って欲しい!そのためのお手伝いをしてまいります。
農業技術が年々進歩しているように、気象情報も年々進歩しています。皆様の課題に気象に関することがあるならば、一度利活用方法を見直してみてはいかがでしょうか。無駄・コストの削減、収量アップの糸口がつかめるかもしれません。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております
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