青森県上北郡にある有限会社柏崎青果は、青森県が国内生産量トップシェアを誇るにんにく、ながいも、ごぼう等を中心とした農産物を取り扱う一方で、開発したにんにくの高付加価値加工品を輸出している。今回は有限会社柏崎青果の6次産業化の成功のポイントについて解説する。
安定供給体制の構築と規格外品の付加価値化
有限会社柏崎青果は10haの農地にて、にんにく3ha、ながいも2ha、ごぼう1ha、玉ねぎ1.3ha等を生産している。また、県内の契約農家50戸やJA生産部会とも連携して農産物を仕入れており、年間取扱量はながいも2,500t、にんにく400t、ごぼう600t、だいこん600tにも上り、年間を通して供給できる体制を構築している。
また、就農直後から「青森県産の規格外の農産物をどうしたら商品にできるか」を考え、取引先や消費者のニーズに対応した1次加工(洗浄、カット、真空パック等)に取組み始めた。その結果、例えばながいもであれば身の部分以外は漬物やパウダーに加工する等、現在では取り扱う農産物の95%を商品化することが可能となっている。
柏崎青果の農産物・加工品・加工風景
海外へはばたく突破力のある加工品
2006年に当社の主力商品となっている「おいらせ黒にんにく」を開発した。「黒にんにく」はにんにくを熟成させたものであり、各種アミノ酸やポリフェノールなどの健康成分が増加する。「黒にんにく」の開発の際には、元弘前大学医学部教授の佐々木甚一氏と共同研究を行い、黒にんにくの機能性に関するエビデンス(根拠)を確保している。
「黒にんにく」はたちまち人気商品となり、販売開始から3年で年商1億円を突破。また、ながいもの輸出の経験から海外では健康食品が注目されていたことから「黒にんにく」の販路として海外マーケットを開拓し、開発からわずか7年目の2013年から米国の400店超を展開する高級スーパーとの取引を通じて全米で販売されている。特に当社の「おいらせ黒にんにく」は他の類似品と比べても熟成技術が群を抜いており、世界一予約が取れないレストランとして有名であったスペインの「El Bulli(エル・ブジ)」にも採用された。
海外でも人気の「おいらせ黒にんにく」
連携によるマーケットの拡大・創造
「黒にんにく」を当社の取り組みだけにすることなく、青森県中小企業団体中央会の主導の下、県内の有志9事業者を巻き込み「協同組合青森県黒にんにく協会」を設立した。当社のみでは生産能力にも限界があったが、周囲を巻き込み連携することで「黒にんにく」のマーケットの創造を図ったのである。その結果、当社のみでも3億円以上の売上高があったが、協会全体では15億円以上のマーケットに拡大した。協同組合青森県黒にんにく協会は、「9月6日は黒にんにくの日」と制定し、2016年2月29日に「第1回全国黒にんにくサミットin青森」、9月6日には「第1回世界黒にんにくサミットin青森」を開催し、日本の黒にんにく「Japanese Black Garlic」の発信と更なる輸出の拡大に取組んでいる。
マーケットの創造に向けた「黒にんにくサミット」
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