衛生管理の構造
衛生管理の構造だが、家庭レベルでは、まずは安全な食材を購入するのが始まりだが、工場でも同じだ。工場での購買は単に安全だと期待するのではなく、その食材供給者が安全に製造しているかを判断しなければならない。ということは、供給者(サプライヤー)が一般衛生管理とHACCPを行っていることが条件になる。
食材を購入したら、家庭ではきれいな台所で調理する。工場でも同じだが、工場の場合は複数人で大量に作るので、きれいにする手順と頻度を決める必要がある。
そして、更に「殺菌」や怪我をする異物混入対策をするのがHACCPだ。
HACCPの土台となる一般衛生管理
HACCPの土台となる一般衛生管理は、製造環境をきれいにすることだ。きれいになれば、異物や細菌も少なくすることが出来る。つまり「環境から減少」する。
きれいにすればするほど、危害は減少していくが、「ゼロ」にすることはできない。
そこで、危害を「製品から除去」することができないかを考えてみる。
加熱殺菌がある製品なら、中心を75℃以上にすれば食中毒菌を殺菌することが出来る。金属異物の危害を無くすには、金属探知機を通せば(小ささの限度はあるが)除去すること
「HACCPがなぜ義務化(制度化)されるのか」だが、家庭の料理で衛生管理を怠って食中毒になるのは仕方ないが、工場や飲食店では大量の食品や料理を出荷提供するので、食中毒や怪我をする異物混入を起こさないようにする。
そこで、義務化が必要になるのだ。公共の場所での「きまり」、例えば道路には、道路交通法があり、守らなければ事故になる。
食品に関する営業は保健所の許可を得ている。これはトイレや手洗いといった常識的な基本的設備も含めたものだが、これは一般衛生管理であり、HACCPは入っていない。
これに加え、これからの義務化に繋がる「HACCP導入型基準」がHACCPを実施する軸になる。
主な認証と広報
現在ある国内HACCP認証の代表的なものを記載したが、全てがこれからのHACCP義務化につながっていく。そして、国際基準になるISO22000までは、特別な設備要求は無い。つまり、「従来型基準以上の施設設備」がなくても義務化に対応できることになる。特別な投資は必要無い。温度計などの安全維持するための道具などは必要になるが低価格のものがある。
基本レベルでのHACCP導入にチャレンジ
上記の表の左側は「HACCP導入型基準」で要求されている大項目で、右側はポイントになる。
ポイントの中身は下の3つに分かれる。
1.一般衛生管理
2.HACCP
3.管理、教育、小売
従来型基準から追加するのは「HACCP」になるが、もう一つ全体に加わるのは「記録」だ。記録は衛生管理を実施している証拠となるだけでなく、忘れる、やらなくなる、といった問題を防ぐ元にもなる。ただし、過剰な記録にする必要は無く、シンプルで効率的な記録でよい。
実施内容の全体
実施内容の全体(概略)も大きく3つに分かれる。
1.一般衛生管理
2.HACCP
3.マネジメント
一般衛生管理の中で特に重要なのは、清掃洗浄を実行しやすくするための「清掃洗浄保守の環境整備」とその実施「清掃洗浄保守の実施と検証」になる。
この「検証」だが、HACCPの手順とも重複している。
きれいになっているかどうかは「目で見るだけ」でなく、重要なところやそうでないところも、拭き取り検査などで、時々、科学的に確かめる必要がある。その場でわかる低コストの検査キットもある。
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