こんにちは。インテージの玉木です。
2018年は大寒波の到来に始まり、冬季オリンピックと、つい最近の出来事に目がいきがちですが、調査会社である弊社内では、2017年1-12月の様々なデータが確定し、各アナリストが2017年を振り返っている真最中です。
私も、日本の食卓でどんな変化が起きていたのか? 弊社の持つキッチンダイアリー(1260世帯の食卓調査)を使って客観的な視点で確認をしてみたいと思います(データから読み取れる考察には主観的な考えが入ってしまいますが。。。)。ご一読いただけますと幸いです。
2017年はどんなメニューが伸びたのか?
早速ですが、2017年の1年間で家庭の夕食ではどのような変化があったのでしょうか?キッチンダイアリーで「夕食での出現が増えたメニューTop10」を確認してみたいと思います。
2017年、夕食の食卓において最も出現が伸びたメニューは「肉と野菜の合せ煮」となっています。エリア別にみても、各エリアで伸びており、肉や野菜は”煮る派”の人が増えつつある事が確認できます。
IHの普及により炒め物よりも、鍋による煮物の方が料理しやすい環境になっているのかもしれませんし、煮物は作り置きにも適しており、忙しい現代人には浸透しやすいメニューなのかもしれません。
野菜サラダや野菜炒めをイメージすると、野菜のシャキシャキ感がおいしさに影響してくると思いますが、煮物料理では、煮込むことで素材の良さがダシになってより一層のおいしさにつながり、また無理をしないでたくさんの野菜を取ることができるために、煮物に適した肉や、カット野菜等の需要が拡大してくるかもしれません。
また伸びているメニューの中に中華系メニュー(チャーハン、シュウマイ、餃子)が多い点も特徴的です。特に伸長しているチャーハンに注目してみると、調理方法の「冷凍食品の利用」が伸びている事が確認できます(調理方法構成比:2016年11%→2017年14%)。
近年はおいしさ(本格感)を全面に押し出した冷凍チャーハンが市場を賑わしており、手間を掛けて作らなくても、レンジでチンするだけで、おいしいチャーハンが食べられるようになってきています。冷凍技術の向上は、素材の味が今まで以上に商品に影響すると言い換える事ができ、冷凍食品に利用される素材に対しては、これまで以上に高品質が求められるようになっていくのではないでしょうか。
2017年はどんなメニューが減ったのか?
さて、前章とは逆に2017年の1年間で家庭の夕食で”出現が減ってしまったメニュー”を見てみましょう。キッチンダイアリーで「夕飯の出現率 減少幅の大きいメニュー」を確認してみます。
最も出現率が縮小しているメニューは「野菜和風煮」となっています。前章で紹介した伸びているメニュー1位が「肉と野菜の合せ煮」でしたので、その影響もあると言えるでしょう。野菜のみの煮物ではなく、肉も含めて1つのメニューでたくさんの食材を取れる方が、現代には合っているという事ではないでしょうか。
「塩焼き・素焼き(魚)」や「煮魚・魚介の煮付け」、「刺身・魚のたたき」「干物焼き」といった魚料理、「つけ焼き・照焼き(肉)」や「唐揚げ・竜田揚げ(肉)」といった肉料理も食卓における出現が減少傾向になっています。これらのメニューに共通するのは単一素材を中心としたメニューとなっている点で、他の副菜を用意しなければ栄養が偏った食卓になってしまいます。
伸びているメニューの中には「肉と野菜の合せ煮」「おでん」「寄せ鍋」等、単一メニューで複数の食材を取る事ができるメニューがいくつも確認出来た事からも、少ないメニュー数で多くの食材(栄養)を取りたい欲求が拡大していると推察できます。
現代の食材には、素材そのものの味以外にも、メニューの中にしっかりと栄養を加えつつ、他の食材との調和まで求められてしまうのかもしれません。
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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