静岡県富士宮市、富士山の麓に株式会社いでぼくが運営する「いでぼくミルクハウス」がある。牧場自体は決して大きくはないが、平日・休日問わず多くのお客様が立ち寄る観光スポットとなっている。多くのリピーターを抱えるいでぼくの魅力とは一体何なのか。今回は株式会社いでぼくの6次産業化のポイントについて解説する。
徹底的な衛生管理によりこだわり抜いた生乳
当社では、ホルスタイン牛、ジャージー牛、ブラウンスイス牛合わせて約120頭の乳牛を飼育している。当社の最大の強みは、何と言っても素材そのものの品質である。『「乳牛」を育てるのではなく、「命」を育てる』というコンセプトに基づき、食事、排せつ、睡眠等、牛の生活リズムに合わせて管理している。また、こだわった飼料や徹底的な衛生管理等によって牛のストレスを減らし、最良のボディコンディションを維持させることによって良質な生乳が搾られているのである。実際、ミルクハウスに隣接している牛舎はいつも清潔に管理されていることから牧場独特の臭いが一切せず、立ち寄ったお客様は牛舎の乳牛を眺めながら当社の看板商品であるジェラートを食べている。このような日々の小さな積み重ねが認められ、その品質は関東全域を対象にした関東生乳品質改善共励会で2012年から6年連続で最優秀賞、特別賞を受賞している。
衛生的に管理された牛舎
こだわり抜いた生乳を活かした商品開発
もう一つの強みは、自社による生産・加工・販売の一貫体制である。生乳から牛乳はもちろん、定番商品のジェラートやチーズ、ヨーグルト等、幅広い乳製品を製造している。当社では健康的、かつ衛生的に育てられた牛から搾られた生乳を、その日のうちに加工することで、高品質の生乳を最大限活かしている。生乳の割合を増やすことで、カルシウムが豊富でさらに低カロリー、そして無添加にこだわることで「安全・安心」な乳製品を製造しているのである。いでぼくミルクハウスの隣に併設されているレストラン「大地」では、自社製造のチーズを使用したピザを味わうこともできる。自社でブランド化に取組んだ結果、市場に出荷すると100円/kg前後である乳価を平均700円/kgにまで高めることができている。
いでぼくの乳製品とレストラン「大地」
地域の生産者との融合による地域活性化
当社は地域の農業全体の活性化にも取組んでいる。牛舎から出た牛糞を自社で完熟させ堆肥にし、農家に無料提供をしている。そして、地元の生産者23名で組織した「富士の国農家直売研究会」が生産した野菜を「いでぼく認証野菜」として自社農場や地元のスーパーで販売している。また、静岡県とのネットワークを駆使し、新東名のSAで「富士の国農家直売研究会」が野菜を出店できる催事を積極的に開催し、地域の生産者に活気を与えている。さらに、生産者だけでなく地元の食品企業や酒造メーカーを加えた「一般社団法人地消地産推進協議会」の中心メンバーとして、2016年5月には「富士山バーベキューinまかいの牧場」を開催することで、地域産業全体の活性化にも貢献している。
地域ぐるみのイベント「富士山バーベキューinまかいの牧場」
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
公開日