HACCPの12手順7原則 「手順4〜10」
手順4は、製造工程をフローダイアグラムにする。
今度の例は食肉のスライスパック工場になる。
縦軸に製造の流れ、横軸は原材料。この例で原材料は肉と包材だけなのでこの様になるが、原材料の多いものは横軸が長くなる。原材料を同じ保管庫に入れる場合には、まとめる。例えば、冷蔵野菜3種類と、常温野菜2種類なら、2つにまとめ、保管庫は、冷蔵倉庫と、常温倉庫、となる。このフローは、これから一つひとつの工程で、どのような危害があるか(あったか)を分析するためのもとになるので、抜けていないかを現場に行って確認する。これが手順5になる。
手順6が危害分析で、ISO22000ではハザード(危害と危害要因)と言っている。
まず、工場で過去に出てしまった問題は、顧客への調査報告などの形で記録されているので、それをすべて出す。それに加えて、出荷はされなくても現場で発見したり処理したものについても、現場スタッフへのヒアリングなどをしてできるだけ引き出す。そして、それがどの工程で出たか、出た可能性、推定も含めて、工程に入れていく。こうすると、各工程でどのような危害が出たのかがわかる。工場での問題箇所が明らかになっていくのだ。そのあと、危害が出る可能性について加えていく。これは予防になる。そうした上でガイドラインがあればそれを参考にして、危害分析を行う。
手順7は、HACCPのCCPを決める。
このとき、ISO22000でしか要求されていないものだが、重要な一般衛生管理について特にきれいにする箇所も特定する。これはOPRPというもので、例えば加熱殺菌をするとバクテリアは死滅して安全になるのだが、このあとの冷却からパッケージの工程で汚染してしまったらだめなので、その箇所を「重要清浄箇所」として特定し、特に洗浄をしっかりする。これはHACCP導入型基準では規定されていないが、自主的に決めることで、より安全になるので、ぜひ導入したほうが良い。CCPは一つの製品の製造工程で1〜3カ所程度になる。製品から危害を除去できる工程はそれほど多くはないのだ。わからない場合、推定でいいから決めて進めていき、あとで修正すればいい。
手順8は、管理基準を設定する。
管理基準とは、例えば加熱後の中心温度なら75〜90℃、金属探知機なら金属が入っていないこと、加熱工程がない例えばカット野菜なら殺菌洗浄水の濃度と浸漬時間、といったものだ。
手順9は、モニタリング方法を決める。
中心温度なら、中心温度計だが、どの部分を測定するのか、連続して加熱調理しているなら例えば30分毎といった詳細を決める。表面温度なら表面温度計、次亜ソーでの殺菌水なら検査紙などとなる。CCPは記録が必要。
手順10は改善処置の方法になる。
CCPを決めて運営を始めたが、管理基準を逸脱したらどうするかを決める。中心温度の場合なら、もし75〜90℃を外れたらどうするかだ。この場合、75℃以下だった場合、食中毒菌の生残の可能性があるので、スチームコンベクションオーブンなどなら再加熱。コンベアオーブンやコンベアフライヤーなどの連続で加熱している場合は、対象ロットを除去して廃棄するなり煮込みなど別の製品に回すといった処置をする。中心温度で例えば90℃が限界でそれ以上になった場合、安全性は過加熱なので問題ないが、美味しさ、品質に影響が出るので、煮物など他の製品に回す、あるいは社内販売にするなどの処置を決めることになる。
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