更新日
資金計画の概要
農業など事業を運営するには、資金が必要です。資金計画とは、事業に必要な資金をどこから調達し、そしてどのように運用していくのか、という計画のことです。
事業に必要な資金は、その使い途により、大きく分けて「運転資金」と「設備資金」の2つに分けられます。
運転資金とは、日々の事業活動に必要な資金のことです。具体的には、種代や苗代、肥料代、借りた農地の賃借料、人を雇っている場合のお給料などに使われる資金をいいます。これらの運転資金に対して農産物の販売代金を充てられれば良いのですが、販売代金が入金されるより前に経費の支払期日を迎えるケースはよくあります。このような場合、運転資金を調達する必要があり、調達方法として、金融機関から借り入れをすることが一つの方法として挙げられます。
一方、設備資金とは、長期的に使う設備を購入するための資金を指します。具体的には、トラクターや運搬用の軽トラック、農業用ビニールハウスなどを購入するための資金をいいます。このような設備資金の調達方法として、図表「資金計画(例)」のように金融機関から借り入れをする他、外部からの出資受け入れや補助金を活用する、などの方法が考えられます。
上述のように、一般的に資金計画は、資金の使い途に応じて運転資金と設備資金とに分けて考えます。
資金計画を作る意義
なぜ資金計画を作成するのでしょうか。売上目標や利益目標を織り込んだ計画(=利益計画)は作っているかもしれませんが、利益が出ていても資金があるとは限らないため、利益計画とは別に、資金計画を立てることが必要です。
「黒字倒産」という言葉があるように、会計上は黒字であっても手元資金がないことで支払いが出来ず、倒産に至ることもあります。「取引先と長年の付き合いがあるから、支払いが多少遅くなっても大丈夫」という考えは危険です。
資金の流れを確認するには、月次で資金繰り表を作成することが有用です。いつ・いくら資金が必要か、ということを事前に明らかにすることで、資金調達も余裕をもって動くことを可能にし、資金ショートを未然に防ぐことになります。
例えば、図表「資金繰り表(例)」のように、12月において、年払いの農地賃借料や従業員へ賞与の支払いをする農業経営体もあるでしょう。その他、新規就農時に借入をしたものにつき、据置期間(元金を返済しなくて良い期間)を経て12月から返済開始というケースもあるかと思います。冬は農産物を収穫できず、販売代金の入金は10月が最後の場合、資金繰り表を作らずにいて臨時の支払いを忘れていると、12月は販売代金の入金もないことから、慌てふためくことになりかねません。
農業は、天候や市況の変化など、自分一人ではどうにもならないことがあります。しかし、予め計画を立てて必要な資金を準備することで安定的に事業を継続できるようになります。
当該コンテンツは、「アグリビジネス・ソリューションズ株式会社」の分析・調査に基づき作成されております。