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事業計画書の作り方
事業計画書のうち、柱となる利益計画の作成について説明します。利益計画とは、生産・販売に関する計画をベースに、設備の減価償却費や、借入れに伴う支払利息などを織り込んだ経営全体の計画です。
利益計画の作成は、以下の手順で進めます。
(1) 生産計画の策定
各年において栽培する作目、面積などの生産計画を決める。
(2) 限界利益・貢献利益の算定
作目別の販売単価、作目別に把握できる変動費と個別固定費を整理し、作目別の貢献利益を算定する。
(3) 事業全体の利益を算定
(2)で計算した作目ごとの貢献利益を合算し、作目ごとに把握できない共通固定費・共通固定益を加減算して、事業全体の利益を算定する。
(1) 生産計画の策定
最初に、作目、作目ごとの栽培面積などの生産計画を策定します。農業の利益計画では、「10a」「一頭」などの一単位あたりの収量および使用量を基礎とし、これに、それぞれ、販売・購入単価、栽培面積・販売頭数を乗じて作目ごとの利益を算定します。
利益計画では、1つの作目を1つの部門と考えて、部門別に損益を把握します。
(2) 限界利益・貢献利益の算定
限界利益とは、生産規模に応じて増減(変動)する変動益・変動費で計算する利益です。限界利益を用いた利益計画は、変動益・変動費のみを変更するだけなので、生産計画と並行して利益計画を検討する際に便利です。限界利益は、部門別(作目別)に算定します。
変動益の計算方法は、以下の通りです。販売数量に基づいて交付される価格補填収入(数量払交付金)と作付面積に応じて交付される作付助成収入(面積払交付金)も変動益と考えます。
売上高 :予定販売単価×予定生産量(作付面積×単収)
価格補填収入:交付単価×予定生産量(作付面積×単収)
作付助成収入:交付単価×作付面積
農業における変動費は主に、種苗費、肥料費などの材料費です。販売手数料や共済掛金なども変動費の性質を持つ費用です。
前年実績が把握できている場合は、一単位当たりの作目別の種苗費、肥料費、農薬費、諸材料費等を実績に基づいて見積もります。前年実績がない場合には、県の指標などから得た数値を参考にします。
次に、作目別の貢献利益を算定します。貢献利益は、限界利益から、その部門の個別固定費(その作目のみに使用する機械の減価償却費など作目固有の固定費)を差し引いた金額です。
(3) 事業全体の利益を算定
(2)で算定した作目別の貢献利益を合計して、事業全体の貢献利益を算出します。そこから、作目別に把握できない共通固定費を差し引き、受取利息や雑収入などの共通固定益を加算して、事業全体の利益を算定します。
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