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雇用保険は、従業員が失業した場合に必要な給付を行うことを主な目的としており、従業員を一人以上雇用している事業者は、業種や規模に係らず加入が義務づけられています。
ただし、農業では、個人経営で従業員が常時5人未満の事業所は、暫定任意適用事業といい、加入は任意となっています。また、従業員の2分の1以上が希望するときは、事業主は任意加入の手続をしなければならないことになっています。
農業法人や個人経営でも従業員が常時5人以上の事業所は、強制適用となります。
雇用保険の被保険者の範囲
雇用保険の被保険者となるには、雇用関係の存在が前提となります。この雇用関係とは、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その対償として報酬を受けている関係をいいます。
(被保険者の範囲に関する具体例)
法人の代表者 | 被保険者とならない |
株式会社の取締役 | 同時に労働者としての身分を有し、報酬支払等から労働者的性格の強く、雇用関係がある場合には、被保険者となる |
事業主と同居している親族 | 原則として被保険者とならない。ただし、業務を行うにつき、①事業主の指揮命令に従っていることが明確、②就労の実態及び賃金の支払がその事業所の他の労働者と同様、③事業主と利益を一にする地位にないときには、被保険者になる。 |
アルバイト 臨時雇用者 |
次のすべての要件を満たす場合、雇用保険の被保険者にならない。 |
雇用保険の保険給付
求職者給付 | 就職促進給付 | 教育訓練給付 | 雇用継続給付 | |
---|---|---|---|---|
給付 |
基本手当 |
就業促進手当 (就業手当、再就職手当、常用就職支度手当) 移転費 広域求職活動費 |
教育訓練給付金 | 高年齢雇用継続給付 (高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金) 育児休業給付 (育児休業給付金) 介護休業給付 (介護休業給付金) |
目的 (保険事故) |
生活の安定を図る |
就職の促進を図る (失業) |
雇用の安定・就職の促進を図る | 雇用の安定を図る |
基本手当(求職者給付)
求職者給付の基本手当は、就職の意思と能力を有するにもかかわらず就業に就くことができない状態にある場合に支給を受けることができます。
基本手当の日額は、離職前6か月に支払われた賃金の1日当たりの金額の約45%〜80%で、低所得者の給付率を高くしています。
受給資格
原則として、離職の日以前2年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が通算して12か月以上あり、かつ、雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上ある場合に支給されます。
また、倒産や解雇等による離職の場合は、離職の日以前1年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が通算して6か月以上あり、かつ、雇用保険に加入していた期間が通算して6か月以上ある場合にも支給されます。
基本手当の給付日数
イ 一般・就職困難者
年 齢 等 | 雇 用 保 険 の 加 入 期 間 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | ||
一般の離職者(年齢関係なし) | 90日 | 120日 | 150日 | |||
就職困難者 | 45歳未満 | 150日 | 300日 | |||
45歳以上60歳未満 | 360日 |
ロ 特定受給資格者・特定理由離職者
特定受給資格者とは、倒産等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者をいい、特定理由離職者とは特定受給資格者以外の者であって、期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した者をいいます。これらに該当する場合、下記のような扱いを受けることができます。
- 被保険者期間が離職以前1年間に6か月以上あれば失業等給付(基本手当)の受給資格を得ることができる(通常、離職以前2年間に被保険者期間が12か月以上必要)
- 失業等給付(基本手当)の所定給付日数が手厚くなる場合がある
- 待期期間(通算7日)後の給付制限(離職理由による給付制限の場合は3か月)がない
年 齢 等 | 雇 用 保 険 の 加 入 期 間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
基本手当の給付率と上限額
年 齢 | 給 付 率 | 上 限 額 |
---|---|---|
30歳未満 | 失業前賃金の80〜50% | 6,945円 |
30歳以上45歳未満 | 7,715円 | |
45歳以上60歳未満 | 8,490円 | |
60歳以上65歳未満 | 失業前賃金の80〜45% | 7,294円 |
(令和5年8月1日)
当該コンテンツは、「キリン社会保険労務士事務所」の分析・調査に基づき作成されております。