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労働基準法とは
具体的に労務管理をするにあたっては、基本的なルールの理解が必要になります。労務管理を行う上で最も重要なルールは労働基準法です。労働基準法は憲法25条1項(生存権)と憲法27条2項(勤労条件の基準)を具体的に法律にしたものです。
この法律は、労働者の保護を目的とした法律であり、下記の13章からなります。労働基準法で定める規定は、「労働条件の最低基準」ですので、労使ともにこの法律で定める基準を上回らなければなりません。
- 総則
- 労働契約
- 賃金
- 労働時間・休憩・休日及び年次有給休暇
- 安全及び衛生
- 年少者・女子
- 技能者の養成
- 災害補償
- 就業規則
- 寄宿舎
- 監督機関
- 雑則
- 罰則
強行法規・取締法としての性格
強行法規としての性格とは、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分が無効になるということです。
たとえば、「年次有給休暇は、2年目から与える」とした労働契約は無効となり、使用者は労働者が6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合には10日間の有給休暇を与えなければならないことになります。
取締法としての性格とは、労働基準法を遵守しない場合、罰則の適用があるということです。
労働基準法の対象となる労働者
労働基準法でいう労働者は「職業の種類を問わず、事業又は事務所で、他人の指揮命令下で使用され、労働の対償として賃金を支払われている者」をいい、「労働者」であるかどうかは、①使用者の指揮監督を受けているか、②労働の対償として報酬を支払われているかで判断することになります。
例えば、労働者には当然パートタイマーやアルバイト等も含まれますし、同居の親族が従業員であっても、賃金の支払や勤務実態等を客観的に判断したとき、他の一般従業員と同様の扱いを受けているときは、労働基準法上の「労働者」として扱われます。
使用者
労働基準法でいう使用者とは、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業に労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」をいいます。事業主とは、事業主体のことをいい、個人企業では事業主個人、法人企業では法人そのものをいいます。
外国人労働者の扱い
外国人も原則として労基法等の労働関係法令の適用があります。具体的には、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等については、外国人についても日本人と同様に適用されます。
労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を禁止しており、外国人であることを理由に低賃金で雇用することは許されません。
農業と労働基準法
たとえ1人でも労働者を雇い入れて農業を営む場合は、個人経営であれ法人経営であれ、労働基準法の適用を受けることになります。
ただし、農業は、その性質上天候等の自然条件に左右されることを理由に、労働時間・休憩・休日に関する規程は、適用除外になっています。(年次有給休暇に関する規定は、適用除外ではありません。)
また、この法律でいう農業には、畜産や花卉栽培等も含まれます。
憲法25条1項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 憲法27条2項:賃金、就業時間、休憩その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを決める。 |
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