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従業員の成長があって事業は発展する
従業員の採用と育成は事業の経営にとって非常に重要な意味をもっています。
第一に従業員を雇用するということは、すなわち家族経営から企業型経営への脱皮を意味し、経営者に大きな意識改革が求められます。労働法や労務管理についての基本的知識、労働・社会保険のしくみなど勉強しなければならないことも飛躍的に増えてきます。そして、何より「人が成長し、その結果として事業の成長がある」ということを経営者は肝に銘じることがとても大事です。
例えば、正社員は、一般的に「期間の定めのない労働契約を締結している労働者」をいい、長期雇用を前提にした労働者です。労働者を長期間にわたり継続的に雇用するためには「事業が継続的に発展」しなければなりません。そのためには、生産量を増やす努力、売上高を増やす努力、生産性の向上を図る努力等が必要となります。
生産性の向上の手段の一つに「労働の分業化」があります。これは、多くの工程を必要とする製品を作るうえでは、一人の労働者が全工程に携わり一人で一つ作るよりも、作業を分業化して複数の労働者が自分の担当する生産工程を決め、自分の役割にのみ特化して作業した方が生産性が高いことをいいます。
一方、農業は、種をまく時期は皆が種をまき、刈り取る時期は皆が刈り取る、というように四季の中で必要な作業が違っており、他の製造業のように年間を通して一人の労働者に一つの作業を行わせることができません。農業の労働にはこの「分業ができない」という、他産業と異なる大きな特徴があります。農業の労働は分業化が困難なために生産性を向上させることが難しいのです。
また、農業は作物によって農繁期と農閑期があり、この結果、労働分配に不均衡が生じます。これを「農業労働の季節性」といいますが、たとえば農閑期である冬季には仕事そのものがないという地域では一年を通して労働者を雇用することは困難でしょう。このように農業はそもそも常勤労働者を継続的に雇用することが難しい産業です。
しかし、これからの農業経営者には、正社員を長期間継続して雇用する技量が求められます。正社員として雇用し、複数年におよぶ長期的な視野で人材を育てる覚悟が必要なのです。そのために最も大切なことは、長期間に渡って勤務できる環境を整えることです。
当該コンテンツは、「キリン社会保険労務士事務所」の分析・調査に基づき作成されております。