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スーパー等の販売データや、既婚女性の調理記録、生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。西日本支社リサーチデザイン部の玉木健一さんが、食のトレンドを解説します。
こんにちは。そしてお久しぶりです。インテージの玉木です。
一時、コラムを休んでおりましたが、AgriweBサイトもリニューアルされ、再びコラムを書かせていただけることになりました!
我々インテージの強みである生活者情報や店頭情報を使いながら、少しでも参考になる情報をお届けしたいと思っております。是非、最後までご一読ください。
さて、今回のテーマは「朝食」です。毎朝、主食に加えてバナナヨーグルトを食べている3歳の息子を見て、「他の家庭はどんな朝食を食べているのだろう?」と疑問に思ったことから始まっていますが、共働きも増え、朝の時間が更に貴重になる中、世の中の朝食事情を捉えることで、有益な情報を得られるかもしれないと考えました。
そもそも朝食ってどれくらい食べられているの?
まずは、日本で朝食がどの程度家庭で食べられているかを、インテージのデータの1つである1260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」で確認してみました。
▼キッチンダイアリー 子供有無別 内食率(%)
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、朝食、2019年1月~6月)
※内食率:当該期間の延べ日数のうち、朝食を家庭内で食べた比率
これを見ると、朝食は9割を超える内食率を示しており、殆どの家庭で日々朝食が食べられていることが確認できます。
また、子供がいる・いないに関わらず9割を超える内食率であることも確認でき、どのような家族構成であっても朝食は食べられていると言えます。(但し、キッチンダイアリーは単身世帯の調査はしていません)。
5年前と比べて伸びているメニューは?
殆どの家庭で食べられている朝食で、伸びているメニューは何でしょうか。キッチンダイアリーで確認します。
▼キッチンダイアリー 朝食TI値※ が伸びているメニュー(TI値10以上)
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、朝食、2014年&2019年 各年1月~6月)
※TI値:1000食卓あたりの出現回数
ここ5年で伸びているメニューをみると、伸び率上位には「青汁」「トマトジュース」「スムージー」等、栄養を手軽に取れる飲料メニューが並んでいます。
そんな中、フルーツの中で「キウイフルーツ」が5年前と比較して1.3倍に伸びていることが確認できます。キウイはフルーツの中でも栄養素が特に高く、伸び率上位の「青汁」等と同じ”手軽な栄養補給”というメリットで伸びていると推察できます。
一方、卵料理として「目玉焼き」や「ゆで卵」も伸びていることが確認できます。卵も栄養価の高い食品として有名ではありますが、「卵焼き」や「スクランブルエッグ」のように調味料などを使ってひと手間掛ける料理よりは、素材の栄養をしっかり取れて、忙しい朝に少しでも時間を生んでくれるメニューが望まれているのではないでしょうか。
伸びているメニューはどの世帯で伸びているのか?
朝食シーンで良く食べられるようになっている「目玉焼き」と「キウイフルーツ」はどんな世帯で伸びているのでしょうか。引き続きキッチンダイアリーで掘り下げてみましょう。
▼キッチンダイアリー 「目玉焼き」「キウイフルーツ」のTI値変化
(京浜+東海+京阪神、20代〜70代 2人以上家族の主家事担当者、朝食、2014年&2019年 各年1月~6月)
※TI値:1000食卓あたりの出現回数
「目玉焼き」「キウイフルーツ」共に子供なし世帯で特に伸びていることが確認できました。
栄養面でも時短という視点でも様々な世帯にとってメリットのあるメニューだとは思いますが、子供がいない大人だけの世帯の方が、流行りの食材やメニューを取り入れやすい傾向にあるのかもしれません。
子供は栄養よりも”食べたいもの”でないとなかなか食べてくれません。親としては栄養をバランスよくたくさん取って欲しいはずですが、食べてもらうハードルを越える必要があるため、流行りの食材やメニューを取り入れにくいのかもしれません。
今回は朝食に焦点をあててみましたが、いかがでしたでしょうか。
食事にとって”味”というのはもちろん重要ではありますが、その素材の持つ”栄養”をアピールすることで、キウイフルーツのように食卓出現を上げることができるかもしれません。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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