事業承継は失敗しなければいい!_シリーズ『失敗しない事業承継』vol.1

  • 事業承継の専門家より、失敗しない事業承継のポイントを解説します。

「事業承継は何のためにするのでしょうか?」

当たり前のようなこの問に、明確に答えられる方はどれだけいるでしょうか?

私は、多くの経営者や後継者と関わって事業承継の話しをしてきましたが、ほとんどの方がその問に即答できませんでした。おそらく「承継の理由」を考えないくらい、承継していくことが、当たり前のことなのだと思います。

ただ、一方で、事業承継が当たり前すぎて、承継のギリギリになるまで、それを考えず、その結果、事業承継が思うようにいかず、失敗してしまうケースが多々あるのです。

私は、全国で事業承継の話しを聞いていますが、事業承継が失敗する理由とその末路は、以下の6つに集約できると考えています。

1.後継者がいない

後継者を指名したり、育てていないため、承継の前になって後継者がいないことに気づき、事業譲渡や廃業といった選択肢しかなくなってしまうかもしれません。

2.後継者が主体者になっていない

事業承継のキーマンである後継者が、言われるがまま後継者になっていたりして受け身の場合、継いだあとで全員が後悔することになってしまうかもしれません。

3.関係者の思いがすれ違っている

事業承継は、それぞれの人生が大きく変わる時であるがゆえに、それぞれ別々の思いを抱いていますが、その思いを話し合ってすり合わせをしないまま承継すると、後で揉めごとになるかもしれません

4.事業承継の最適スキームが描けない

事業承継に必要な知識やノウハウは、事業承継時期しか使わないものがほとんどなので、経営者や後継者が十分な知識をつけられず、最適な段取りなど方策が描けないかもしれません。

5.事業と人生の将来が見えない

すぐ目の前にある問題を解決することばかり考えていると短期的視点にしかならず行き当たりばったりの事業承継になってしまうかもしれません。

6.後継者の育て方がわからない

ほとんどの経営者は、後継者(経営者)を育てたことはないので、育て方を知りません。後継者は、経営者として必要な知識や視点などを身につける前に、経営を開始しなくてはならなくなり、経営を悪化させてしまうかもしれません。


上記のような理由から事業承継がうまくいかない、という話しをよく聞きます。逆に言えば、まずは上記のような理由をクリアして失敗しないようにすればいいのです。失敗しなければ、事業承継を機会に発展・成長することも可能です。

次回のコラムは、失敗理由のひとつひとつをもう少し具体的に掘り下げていきたいと思います。最後まで、お読みいただきありがとうございます。

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