(『バイヤーズ・ガイド』編集発行人 永瀬正彦)
前回までターゲット・利用シーン、そして商品が持つ6つの特性について学んできましたが、第5回目となる今回は総集編です。
ターゲット・利用シーンによって商品のコンセプトが決まり、このコンセプトにより商品が持つ6つの特性が表現され、6つの特性に適したストア・コンセプトのお店に販路が拡がっていきます。
さあ、この『販路開拓早わかりチャート』について学んでいきましょう。
商品コンセプトで6つの特性が決まり、自ずと販路も開かれる!
さて、第3回から第4回までで説明してきた内容をまとめた『販路開拓早わかりチャート』が下図になります。
今まで学んできたように、左側のターゲット(こんな人に)、利用シーン(こう食べて欲しい)によって皆さんの思いとも言える“商品コンセプト”が決まります。
そして、この商品コンセプトによって、前回ご説明した商品の6つの特性(アイテム・機能・サイズ・用途・テイスト・価格)が決まります。
そしてこの6つの特性に見合ったストア・コンセプトのお店に販路が拡がっていくのです。では例を挙げてみてみましょう。
例①
例えば、ターゲットがワインと食事のマリアージュを楽しむ企業エグゼクティブの方で、利用シーンは大切なお取り引き先の方とワインにあわせてスプーンサイズのアミューズをいろいろと試してみたいとなったら、商品の6つの特性はどうなるでしょう?
想像してみるとアイテムはトリュフ・フォアグラ・キャビアといった珍味、サイズは完成されたスプーン一杯、用途は最上級の接待、テイストはワインとのマリアージュを意識した芳醇な味わいで、価格も当然高くなる。
そうなるとこのメニューが提供できるのは、ホテルや高級な飲食店に限られてきます。
例②
その一方で、ターゲットが日本全国の子供たちで、利用シーンはうちのお店のカレーを気軽に手軽に食べてもらいたいとしたら、この商品の6つの特性はどうなるでしょう?
機能は気軽であればレンジアップやレトルト、サイズはお子様が食べきれる量、用途は自家需要の日常使い、テイストは子供の舌に合う甘口、価格は当然リーズナブル。
そうなると、このお子様向けカレーはGMS(総合スーパー)や地元スーパーの棚に置かれます。
逆算を活用して商品をブラッシュアップ
このようにターゲット・利用シーンで商品が持つ6つの特性が決まり、おのずと販路も決まってくるのです。
皆さんの商品も是非この『販路開拓早わかりチャート』に当てはめて、商品を見直してみてください。というのも、このチャートが便利なのは逆算もできると言うことです。
例えば「現状商品はGMSの特売対象商品になってしまっているけれど、これを百貨店向けの商品に変えていきたい!」、そう思ったら、 百貨店のどのようなお客様(ターゲット)にどのように使って欲しいのか(利用シーン)、そうなると商品が持つ6つの特性はどうなるのか。
こうして立てた仮説を、展示会や商談会で百貨店のバイヤーにぶつけてみるわけです。
そしてバイヤーからいただいたアドバイスをもとに商品をブラッシュアップし、またアドバイスをいただいた百貨店バイヤーに提案してみる。これを何度も繰り返しているうちに、GMSの特売対象だった商品がだんだんと百貨店向きの商品に仕上がっていくはずです。
ターゲット・利用シーン・商品が持つ6つの特性は決して難しくありません。皆さんの「こんな人に、こう食べて欲しい」という想い(商品コンセプト)が重要なのです。
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