(ニュージーランド大使館商務部/ニュージーランド貿易経済促進庁)
⑤ バリューチェーン最適化:収穫・選別・輸送・保存まで、一気通貫のバリューチェーン・ソリューション
ニュージーランドはその基幹産業である農業の生産性を、アグリテックという新たなテクノロジーを起点とする営農活動の抜本的な刷新(イノベーション)により高めてきました。
小さいながらもバラエティに富んだ地形・環境を有す国土は、多種多様かつ豊かな農産物の生産を可能にする一方で、農業従事者に様々な課題を突き付け、ニュージーランド アグリテックは、農業従事者と共に、それら課題を乗り越える度に進化してきた、ともいえます。
加えて、農業輸出国として、消費者嗜好や人口構造の変化、気候変動など、経済発展と共にダイナミックに変化し続ける世界の農業市場に対応していく中、農産品と共にアグリテックの質も磨かれ、更にはアグリテック単体として輸出されるようになり、各国で高い評価を得るに至りました。
本稿では、進化を続けるニュージーランド アグリテックの中から、特に収穫後の洗浄、粗選、梱包、輸送などの「バリューチェーンの最適化」に貢献するソリューションを提供する企業をご紹介します。
バリューチェーン全体での自動化・効率化の推進
農産物は農場での生産に始まり、収穫・選別・輸送・保存など、多段階の工程(バリューチェーン)を経てお客様に届けられます。
市場には産地の異なる多種多様な農産物が存在しており、各工程を様々な事業者が請負ってこのバリューチェーンが維持されていますが、ここでも人手不足の解決・業務の効率化が課題になります。
ニュージーランド アグリテックは、各工程を支援するソリューションも充実しています。
洗浄や処理、仕分け包装、データ分析から自動ハンドリングなど各工程をワンストップで支援するソリューションや、ベリー特化型AIを搭載した高精度な特徴の自動選別・包装機械、安全性・生産効率を保つためのリモートモニタリングが可能な食品加工ロボット、生鮮食品のチラー(冷却水循環装置)、迅速で精確な出荷物の追跡サービスなど、様々なソリューションが国内外において導入されています。
Compac(コンパック)
(画像:Compac, NZ AgTechStory より引用)
収穫後の製造・販売・梱包における課題に対し、ソリューションを提供しています。洗浄や処理、仕分け包装、データ分析や自動ハンドリング等優れた技術を持ち、導入から運用までワンストップで支援するパートナーとして信頼を得ています。
BBC Technologies(ビービーシーテクノロジーズ)
(画像:BBC Technologiesウェブサイト)
小さな果物も対応できる選別、オペレーション最適化、包装に関する技術を提供しています。特にベリー等の作物を中心としたソリューションの研究開発に注力しており、小さくやわらかい実を丁寧に扱うその技術は世界中から支持を得ています。
CR Automation(シーアールオートメーション)
(画像:CR Automationウェブサイト)
収穫後のリンゴやキウイ、アボカドなどの洗浄から梱包までを行う技術を提供しています。さらに、技術を活かして食品加工やパレット製造等も行っています。
H&C Automated Solution(エイチアンドシー オートメーションソリューション)
(画像:H&C Automated Solutionウェブサイト)
ロボット技術を活用した食品加工技術に特化し、乳製品や肉類、農作物の加工を扱う工場や設備を所有し、サービスを提供しています。スペア部品の供給やメンテナンスプログラム、リモートモニタリングなど、手厚いサポート体制を構築しており、世界中でサービス提供を行っています。
品質を維持・管理するためにはバリューチェーン横断のシームレスな仕組みが不可欠です。ニュージーランド アグリテックには俯瞰的に管理するICT基盤のうえで、粗選・放送などハードウェアが活躍する仕組みが構築され、経年運用されています。是非、日本の農業運営においても参考になるのではないでしょうか。
次回は、「⑥プレシジョン・ファーミング(精密農業):ニュージーランド アグリテックのIoTソリューション」と題し、データを徹底的に活用してきめ細やかなオペレーション改善を目指す技術・ソリューション等ご紹介します。
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