(株式会社ウェザーマップ 寺本卓也)
こんにちは。農てんきな気象予報士の寺本卓也です。
先月は、岩手県大船渡市をはじめ、全国で山林火災が相次ぎました。大船渡では2月18日から15日連続で乾燥注意報が発表。3月の降水量は61.5ミリ(平年3月103.8ミリ)と比較的雨も少ない状況でした。
地球温暖化により乾燥化は今後も進むと予想されており、農業においてもこうした深刻な気候変動にどう対応していくかが大切になっていきます。
そして今月もいつもの4月とは少し違った天気が予想されています。農業に役立つ農てんきな情報が今月も満載です。ぜひ最後までお付き合いください。それでは農てんきスタートです。
春に3日の晴れなし
春に3日の晴れなしという言葉があります。1年の中でも、4月は意外に曇ったり雨の日が多く、スッキリ晴れる日が多くありません。これは低気圧と高気圧が交互にやってくるためです。
晴れる日が2日続いた後、その翌日雨雲がやってきます。短い周期で天気が変わりやすい厄介なシーズンですが、それを逆手にとり、低気圧が近づいてくるタイミングを知っておけば農作業日を調整する事は可能です。
なぜなら梅雨時期のように長雨になるのとは違い、1日〜2日で短時間にざっと雨が降った後は再び晴れ間が戻るからです。
雨雲は日本の南を通りやすい
しかしながら春に3日の晴れなし。と言ったものの、今年は若干様子が違います。
平年は日本列島を横断する偏西風が、今年は日本の南を流れています。それにつられるように高気圧と低気圧も日本の少し南を交互に進んでくる事が多くなるかもしれません。
今月西の地域は干ばつ気味か
1か月予報(降水量)を見てみましょう。やはり偏西風の流れが今年はいつもより南だからか、東と西で極端です。北陸や、近畿より西の地域で降水量が平年並みか少ない予想。一方で、東北太平洋側で雨が多い予想となっています。
西の地域では晴れて野菜の生育の前進、収穫が早まる物もあれば、畑が少し干ばつ気味にならないか心配な所です。また東北では果樹の摘花などが進まず、あらゆる農作業の遅れが出てくる可能性があります。
今月は東北で雨が多いか
もう少し詳しく見てみましょう。こちらはウェザーマップ独自の16日予想です。福島など東北太平洋側では、雨の日が少し多く目立ちます。
西の地域では晴れ間が多い
同じく16日予報で福岡を見てみます。雨の日に比べ晴れ間の出る日が多い予想です。その他の地域をご覧になりたい方はこちら(https://forecast.weathermap.jp/)をご確認ください。
寒冷前線は雷雨のサイン
またこの時期は激しい雷雨となる季節でもあります。季節の変わり目は他の月よりも気温差が大きいため、低気圧も発達しやすく大雨や暴風となりやすいです。特に注目して欲しいのが、寒冷前線(図:青の三角のライン)です。
この寒冷前線が通過する所で激しい雷雨となります。雷雨は夏も起こりやすいですが、こちらは地面が局地的に暖められ空気が上昇する事で発生します。どこで発生するか分からない事から、ゲリラ雷雨なんて言われています。
一方、春の雷雨は必ず寒冷前線近辺で発生します。ですから、この寒冷前線の動きを先にチェックしておけば農作業の予定を事前に決めておく事が可能です。ぜひ参考にして頂けたらと思います。
北・東日本は高温傾向
さて気温はどうなるでしょうか。1か月予報(平均気温)を見てみます。すると、北・東日本は高い予想となっています。
4月は日に日に気温が上がっていくものではありますが、月の後半になっていくと各地で25℃の夏日と季節外れの暑さとなる日も続出してくる可能性が高いです。野菜の温度管理に十分注意が必要です。
遅霜にも注意
一方、この時期は寒の戻りによる影響も見逃せません。そう「遅霜」です。
春は急な冷え込みで真冬の寒さに逆戻りするような日(遅霜)があり、春に花が咲く果樹やお茶の新芽などが凍って枯れてしまう被害が多発します。
どんな時に起こりやすいかと言うと、寒冷前線が通過した後、高気圧に覆われて晴れる夜から早朝にかけてです。
寒冷前線は、その名前だけあってとても冷たい空気を伴っています。寒冷前線の後ろ側(高気圧の前面)の空気はとっても冷えているため、雷雨の翌日晴れるような日は遅霜の危険性が非常に高まる訳です。
天気予報で2〜3℃以下は遅霜の危険
天気予報には落とし穴があります。それは予報の数字です。実は気象庁が発表している気温は地上から1.5メートルの数字を予想しているのです。
なぜそんな事をしているかというと、地面からの熱の影響を避けるためです。もしあすの最低気温が2〜3℃予想なら、地上ではさらに冷えて0℃以下となるのです。
遅霜が予想されるような時は気象庁から霜注意報が発表されますが、彼らは農業のプロフェッショナルではないため非常に判断が難しいという話を取材した事があります。
もしこの時期、3℃の予想が出ているのに霜注意報が発表されていない時は、遅霜への意識をしておいた方がよいでしょう。
テレビ派ふぁーむ
広島テレビで私はテレビ派ふぁーむというコーナーを放送しています。実際に野菜の生育をする事で、天気と農業の楽しさ難しさなどを伝えています。
このコラムでも何度か登場していますが、昨年9月に植えた人参が、今年3月末ようやく収穫できました。昨年の厳しい暑さと、その後のしぶとい寒さでなかなか成長が進まず半年かかりました。
農家の皆さんと比べるのは失礼ではありますが、そんな大変さや農業への感謝の気持ちを伝え、視聴者の皆さんに野菜を沢山食べてもらうきっかけになればいいなという想いでいます。
さらなる企画も始動
また今後は、地元の中学・高校生とも野菜を一緒に育てると言うコラボ企画が始動しています。中身が紫色のシャドークイーンというジャガイモを育てる事になりました。とても珍しい品種で、これからの生長が楽しみです。
収穫は6月を予定しており、広島の名物にしたいと学生さん達は意気込んでいます。果たしてどうなるか、こちらのコラムでも放送とは別に進捗状況など少しお伝えできたらと思います。ぜひ今後をお楽しみにしていて下さい。
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当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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