(株式会社ふるさと支援研究所 清水 進矢)
前回は、個人で補助金を申請する際のメリットとデメリットについて解説しました。結果的に、専門家に頼ったほうが手間も少なく効果が高いことがわかっていただけたかと思います。
今回は、実例をもとに『事業承継補助金』の活用プロセスついて詳しく見ていきます。
事業承継補助金の活用例:コロナ禍の逆境をチャンスに変えた取り組み
親の代では、卸売会社を通じて業務用加工葉物野菜を首都圏の飲食店などに販売することが主力事業だったA農園。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で外食産業が打撃を受け、売上が大きく減少してしまいました。
一方、在宅時間が増えたことにより、小売店やネット通販では「外出しなくても自宅で楽しめる」需要が急増しており、新たな販売チャネルとして注目を集めていました。
そこで、後継者である息子さんが中心となり、従来の卸売メインから一般消費者向けに販路を拡大するため、新たな取り組みに挑戦することを決断。
具体的には、農園で人気の枝豆生産を強化するために設備投資し、「生産者が見える」インターネット販売を通じて、消費者に直接届けるBtoC事業を開始しました。
新たな経営戦略にかかる設備導入やインターネット販売構築費用など、事業承継補助金を活用。この補助金により、後継者が主体となった経営の刷新が実現し、事業が次のステージへと進むための強力な後押しとなりました。
A農園が事業承継補助金を活用できたのは、単なる設備投資ではなく、後継者が主体となって新たな販路開拓や経営の再構築に挑戦したためです。
事業承継補助金では、後継者による積極的な取り組みが成功のカギとなるのです。
設備投資と事業承継、どちらを選ぶべきか?
設備投資と事業承継、どちらを優先すべきかは、農業経営の現状や経営者の課題によります 。
今回のケースでは新型コロナウイルス感染症の影響により売上が大きく減少している中で、自社の経営にも抜本的な見直しが必要となり、後継者が中心となり新しいビジネスモデルを構築することになりました。新事業の経営計画作成にあたり、新たな商圏や市場の分析、収支計画のシミュレーションまでサポートさせていただきました。
生産性向上や作業の効率化が急務であれば、設備投資に対する補助金を利用するのが効果的です。一方、事業承継をきっかけに後継者が新事業を始めたい場合や現状の経営状況に重要課題である場合、事業承継に重点を置いた補助金を活用する方が望ましいでしょう。
どの補助金を活用して進めていくのが効果的なのか、経営状況や将来の展望を見据えて計画的に考えることが重要です。経営層だけで考えるのももちろん大事なことですが、経営戦略知識の豊富な専門家とともに一緒に考えることで、より具体的で地に足のついた計画を立てることができ、長期的な経営の安定と成長を図ることができます。
まとめ:補助金を有効に活用するために
補助金活用で最も大切なことは、目的と手段を見誤らないことです。ときに、補助金をもらうこと自体が目的化してしまう場合がありますが、補助金は目標達成を円滑にするための補助手段であることを忘れないようにしましょう。
補助金の活用を通じて、経営の改善や事業の成長が具体的に実現できるよう、経営課題と方向性を明確にすることが成功のカギです。必要に応じて専門家のサポートも受けながら、長期的な視点で計画的に取り組んでいきましょう。
専門家選びの際は、お近くの商工会・商工会議所に相談したり、「経営アシストチャット」を活用することで、信頼性の高い専門家に出会えます。
シリーズ『農業経営に活用できる補助金』。次回は、『補助金を受ける前に考えておくべきマーケティング戦略』について詳しく解説していきます。補助金活用の具体的な方向性を見極め、どの補助金が最適かを探っていきましょう。
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