主な原材料のみ表示義務の妥当性
遺伝子組換え由来の原材料であっても、原材料の重量に占める割合が4位以下の原材料や、5%未満の原材料については表示が不要であることについて、「適切だと思う」は(16.7%)、「全てではないが、今よりは詳細な情報が分かると良い」は(2.2%)、「全ての原材料に表示が必要だと思う」は(29.9%)、「分からない」は(34.8%)となった。
「遺伝子組換えでない」旨の表示に関する認知度は6割となっていますが、他方、 「不分別」である旨の表示に関する認知度は3割にとどまっています。
遺伝子組換え表示に関する認知度
「遺伝子組換えでない」旨の表示について「知っている」は(60.0%)、「ルールがあることは知っていたが、具体的な表示方法は知らなかった」は(13.8%)。
「不分別」である旨の表示について「知っている」は(28.5%)、「ルールがあることは知っていたが、具体的な表示方法は知らなかった」は(20.2%)。
分別生産流通管理の認知度
「遺伝子組換えでない」旨の表示をするためには、分別生産流通管理の必要があることを「知っている」は(21.1%)、「聞いたことがある」は(29.1%)。合計割合は(50.2%)であった。
分別生産流通管理がされていない場合は、「遺伝子組換え不分別である」旨の表示が義務付けられていることを「知っている」は(8.3%)、「聞いたことがある」は(22.9%)。合計割合は(31.2%)であった。
意図せざる混入率5%を認めることについての認知度は、「聞いたことがある」を含めても3割弱にとどまり、混入率5%を「引き下げるべき」とする人が17%に対して、容認している人は31%となっています。
「遺伝子組換え農産物」の意図せざる混入率の認知度・妥当性
分別生産流通管理が適切に行われている場合には、一定量の混入があっても、「遺伝子組換えでない農産物」として流通させることが認められていることを「知っている」は(6.0%)、「聞いたことがある」は(20.2%)。合計割合は(26.2%)であった。
適切に分別生産流通管理を行った場合でも遺伝子組換え農産物の混入する可能性を考慮し、5%まで遺伝子組換え農産物の混入が許容されているが、この5%という数値について、「引き下げるべき」は(16.8%)。
「適切だと思う」は(13.5%)、「高いと思うが、引き下げる必要はない」は(7.7%)、「低いが引き上げは不要」は(6.3%)、「引き上げてもよい」は(3.4%)。
「分からない」は(35.2%)。
調査結果より、「表示義務対象品目」や「不分別」である旨の表示、「遺伝子組換え農産物」の意図せざる混入率5%を認めていることに関する認知度は、3割弱~3割程度に留まることがわかりました。
遺伝子組換え表示制度の導入から約 15 年が経過しているにもかかわらず、一般消費者の制度理解は不十分と言えるでしょう。
このような制度に関する理解不足が、遺伝子組換え食品に対する不安や買い控え、制度改正に対する意向について「分からない」とする回答につながっていると考えられます。
また、遺伝子組換え農産物の含有に対する意識が多様に分散する中、各人のニーズに応じた商品選択ができるような情報提供が求められます。
表示制度見直しにおいては、消費者が、店頭の食品に遺伝子組換え作物が使われているかどうかを判断できる情報を確認できるよう、よく議論していただきたいと思います。
(※1)
遺伝子組換え表示制度に関する検討会(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/review_meeting_010/
(※2)
平成28年度食品表示関する消費者意向調査報告書(遺伝子組換え食品の表示に関する事項(抜粋版)(消費者庁 平成29年2月)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170426_0002.pdf
【調査の目的】
消費者の食品表示制度に対する理解度等を調査し、その結果を分析することで、食品表示法等の関係法令やガイドライン等の定着状況を把握するとともに、消費者の食品表示に対するニーズを把握し、食品表示制度の見直しに役立てることを目的に実施。
【調査設計】
調査手法: インターネット調査
調査機関: 株式会社イデア・プロジェット
調査対象者: 平成27年国勢調査の性別、年代、地域の比率を考慮した全国の満15歳以上の日本国籍を有する一般消費者(80 歳以上を含む。)
有効回答数:12,691 標本数:10,648
調査実施時期: 平成28年12月12日(月)〜平成29年1月4日(水)
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されております。
公開日