アグリウェブをご覧の皆さん、こんにちは。GreenCarbon株式会社です。
世界的に地球温暖化緩和の動きが広まるなか、農地のCo2削減量が売買できる取り組みもまた広がりを見せております。「カーボンクレジット」と呼ばれるその枠組みをシリーズに渡ってご紹介いたします。
初回の今回は足元の全体的な動きについてご案内してまいります。
地球温暖化による農業への影響
近年、地球温暖化について耳にする機会が多くなってきていると思います。
そのような地球温暖化による気温上昇は、農作物の生育に影響を与えていることがニュースにもなっております。
参考②
そして、農林水産省の調査によると、日本の農業分野の温室効果ガス排出量は約5,000万tとされ、これは国内全体の3.9%相当ですが、CO2の25倍の温室効果があるメタンガスが1,356万tと全体の約30%を占めており、農業でも温暖化緩和の取組が求められております。
参考③
このような状況から、農林水産省は「ゼロエミッション達成に向けたロードマップ(みどりの食料システム戦略)」を策定。温室効果ガス削減に向けた技術革新を行い実質排出量0を目指しております。
農業分野における具体的な取組
温室効果ガスの削減のために農業者が実施し、温室効果ガスの削減量がインセンティブとして付与される仕組みが『カーボンクレジット』となります。
本シリーズでは、『カーボンクレジット』に関してのメリット、デメリット、実施できる内容、海外の動向などについて、事例を交えて解説していきます。
Vol.1では、カーボンクレジットとは何であるか、ご紹介させて頂きます。
カーボンクレジットとは?
日本は2050年までにカーボンニュートラルを掲げていますが、この目標を達成するためには、企業が脱炭素の取り組みを行わないと実現不可能と目されております。
そのようななか、上場企業から先行して対応が求められており、2020年頃から取り組みが促進されています。
そして、自社で見通しているCO2排出量に対し、経済活動などでどうしても削減できないCO2排出量の足りない部分が出てきてしまうのですが、この不足分を相殺する方法が「カーボンクレジット」なのです。
カーボンクレジットは、CO2の吸収・削減量を排出権(クレジット化)として販売・取引できる仕組みです。
日本のクレジット取引所
日本における国が認証する制度で日本のクレジット取引所がJ-クレジットになります。
J-クレジットには、農業由来で取り組める方法論が5つあります。その中で、最も実施がしやすく、2023年3月に認定された方法論の『水稲栽培における中干し期間の延長』をご案内させて頂きます。
今回ご紹介する取り組みに関しては、水稲農家さんが水田の中干し期間を延長することにより、メタンガスの排出削減へと繋がり、削減した分がカーボンクレジットとして与えられます。
そして、このカーボンクレジットは、企業や自治体などが購入することができます。
つまり、農業者によって削減された温室効果ガスに相当するカーボンクレジットを購入することにより、企業や自治体は、自身の温室効果ガス排出量の削減量に組み込むことが出来るのです。
他方で、農業者側はカーボンクレジットの報酬を受領できるため、温室効果ガスの削減に取り組むことで、新たな収入源となり得るのです。
これからの時代、環境にやさしい農業が求められています。カーボンクレジットを利用することで、温暖化対策に取り組みながら、農家さんの経済的な利益も得ることができるようになっているのです。
留意しておかないといけないデメリット
但し、良いことばかりだけではありません。デメリットとしては、例えば水稲農業では水田の中干し延長することで、品質の低下や収量減になるリスクがあります。
地域などによって変わってくるので、一概にデメリットとも言い切れない部分もありますが、まずテストデータを確保したうえで確認しておくことが重要です。
また、個人で、J-クレジットに登録を行うには、一定基準に満たない場合に、多大な費用がかかる可能性があり、煩雑な資料や削減量を計算する上で、複雑な計算式を読み解く必要があります。
そんな導入障壁を解決するために、今回Green Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon)が農家さんのための新サービス『アグリーン(仮)』をリリースしています。
アグリーンとは?
アグリーンとは、日本の農業者向けのカーボンクレジット創出におけるサポートツールになります。
サービスイメージとしては、自身の対象農業の選択(水田、畑作、畜産)、実践するプロジェクトの選択、自身の対象農業でのクレジットシミュレーション(必要情報の入力)、登録→販売を一気通貫して行えるサービスになります。
Green Carbonは農業者に負担を極力かけないように、シンプルにわかりやすく、カーボンクレジットに触れて頂き、申請代行、クレジットの販売までを行います。
カーボンクレジットに関しては、クレジットを作成したが販売できないなどの課題が多く出てくる中で、Green Carbonは販売先企業のパイプがあるため、販売できないリスクを減らすべく支援させて頂いております。
そして、そんなアグリーンのスタートとして、今回『稲作コンソーシアム』を立ち上げさせて頂いております。
稲作コンソーシアムとは?
2023年3月2日、J-クレジットの運営委員会にて、「水稲栽培における中干し期間の延長」の方法論が新たに承認されたことを受け、日本国内でのJ-クレジット創出を目的に、稲作コンソーシアムを発足しました。
コンソーシアムへの参画者(農家、農業関連機関、企業、自治体)が保有する水田を、本コンソーシアムに登録いただき、コンソーシアムがまとめてJ-クレジットに申請します。
今回、コンソーシアムを発足した背景として、農家個人がJ-クレジットを登録・申請するには負担が大きい点が挙げられます。
農家個人がJ-クレジットにプロジェクト登録する際は、登録・クレジット発行費用で数百万円必要となります。また、登録・申請までの申請書作成や手続きにかかる手間も課題として挙げられます。
そこで、Green Carbonは、参加者を募りまとめて申請、登録できるようコンソーシアムを発足いたしました。このコンソーシアムを皮切りに、日本の農業由来の脱炭素化を加速化させていきます。
次回、Vol.2ではGreen Carbonの海外実績やなぜ海外展開を先進的に取り組んでいるのかを紹介していきたいと思います。
◆本件に関するお問い合わせ先
稲作コンソーシアム参加希望の方は、右矢印をクリックのうえご相談ください。
この記事の執筆者:Green Carbon株式会社
当該コンテンツは、担当コンサルタントの分析・調査に基づき作成されています。
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