新型コロナウイルスによる内食需要の高まり_『データに基づく食生活のトレンド分析』Vol.9

  • スーパー等の販売データや生活者へのアンケート結果等、様々なデータの収集〜集計〜分析を行っている株式会社インテージ。今回は、新型コロナウイルスが及ぼしている家庭での食事の変化を深堀りします。

新型コロナウイルスによる内食需要の高まり
- ヘルシーで便利な楽しいパスタ -

こんにちは。インテージの牧野です。

新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えたため、料理が気分転換になっている方も多いのではないでしょうか。今回は、このコロナウイルスの影響により、家庭ではどのような食事の変化が起きているか深掘りしたいと思います。

内食率の上昇

インテージのデータの一つである1,260世帯の食卓調査「キッチンダイアリー」で家庭での内食率の推移を確認したところ、政府がイベント自粛要請を働きかけた2月末ごろから上昇している傾向にあります。昨年と比べても多くの家庭が外での飲食を控えていることが分かります。

▼2020年1-3月 内食率トレンド (% 全食卓ベース)
(京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者、2020年1月〜3月 vs 2019年1月〜3月)

売上が伸びた食品

では、どのような食品の売り上げが伸びているのでしょうか?

インテージの小売店POSデータ「SRI」(全国約3,000店)で確認したところ、スパゲッティやパスタソース、乾麺などストック可能な商品が伸長しています。

インスタント麺よりもスパゲッティや乾麺が伸びているところを見ると、保存が効く、簡便という点だけではなく、少しでもアレンジが効く、手作り感があるという点も併せて評価されているのではないでしょうか。

▼2020年2-3月 食品 販売金額前年比 (%)
(市場:食品 業態:SM・CVS・DRUG・HC/DS 全国計 2020年2月3日週-2020年3月30日週)

どのようなパスタ料理が作られたか?

特に伸長率の高いパスタについて、どのようなメニューが作られたのか「キッチンダイアリー」で確認したところ、ミートソースやナポリタンなどの王道パスタ料理の出現率が上がってはいるものの、既存のパスタ料理にはあてはまらない「その他パスタ料理」の出現が特に伸びているようです。

家庭内での食事が増えることでアレンジの効くパスタを使い、既存のメニューにはとらわれない、工夫をこらしたパスタ料理を作っていると言えるのではないでしょうか。

▼2020年3月 パスタメニュー出現率 (% 全食卓ベース) 
(京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者 2020年3月 vs 2019年3月)

▼2020年3月 その他パスタ料理 材料出現率 (% 全食卓ベース) 
(京浜、中京、京阪神3エリア計 2人以上家族の主家事担当者、2020年3月 vs 2019年3月)※差分降順でソート

その他のパスタ料理に使用している素材を見ると、昨年と比べて「しめじ」「しいたけ(生)」のきのこ類や、「キャベツ」「ハーブ」「水菜」等の葉物野菜の伸長が目立ちます。

簡便なパスタ料理の中にも、ヘルシーな葉物野菜を取り入れて、運動不足になりがちな状況に各家庭で対応している様子が垣間見えます。

また、昨年には登場しなかった食材の使用も増えていることから、家庭内での料理シーンが増えたことで、ストックされた材料を上手に使ってパスタ料理を工夫していることが考えられます。

今回のようなパスタ料理などの簡便な食が注目されている中で、簡便=不健康・手作り感がないと思われがちですが、各家庭で野菜を積極的に取り込んだり、自分でメニューを工夫するなど簡便の中にもこだわりが見えます。

実はあらゆる野菜と調味料で幾重にも工夫が可能なパスタ。一緒にたくさん野菜を摂取して、健康に、料理を楽しむことで、昨今の状況に明るい兆しを見せてくれるかもしれません。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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