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決算書の作成
棚卸
農業法人は、個人農業者に適用される「収穫基準」の適用はなく、農産物を製品として扱い、期末在庫は原則として原価で評価します。
減価償却
減価償却費の計算につき、税務署に事前に届出をしなかった法人は、建物、建物付属設備・構築物、無形固定資産、生物は定額法、その他は定率法により計算します。
また、法人税法において減価償却費は任意に計上することができます。繰越欠損金がある場合は、減価償却を行わず、繰越欠損金を優先して損金に算入する、ということも可能です。
役員報酬
法人の場合、経営者に対して支払った役員報酬は法人の費用となります。また、役員報酬は、原則として法人税の計算上、役員給与として損金の額に算入されます。
ただし、作業時間に応じ上乗せして支払う報酬など、毎月同額の定期同額給与または事前確定届出給与のいずれにも該当しない場合は、損金不算入となります。
また、役員報酬の支給を受けた経営者個人においては、役員報酬はその支給を受けた金額から給与所得控除額を控除した残額が、給与所得として所得税の課税対象となります。
法人税の申告(別表調整)
法人税の課税対象となる所得金額は損益計算書の当期利益を基に計算しますが、所得金額の計算上、当期利益から加算したり減算したりする項目があります。これを別表調整といいます。
たとえば、農業法人に特有なものとして、農業経営基盤強化準備金があり、損金経理によって積み立てる方法と剰余金処分によって積み立てる方法があります。
農業経営基盤強化準備金を剰余金の処分により積み立てたときは、損益計算書に費用として計上されませんので、法人税申告書別表四「農業経営基盤強化準備金積立額の損金算入額」に記載された金額を減算して所得金額を計算します。
一方、剰余金処分経理により積立て準備金を取り崩したときは、別表四において加算して所得金額を計算します。
また、農事組合法人が従事分量配当を支出した場合には、配当の計算対象となった事業年度の別表四において、支出した配当金額を減算して所得金額を計算します。
会計期間と申告期限及び納税
法人の会計期間は定款で任意に定めることができます。
法人税、地方税の確定申告の申告期限及び納付の期限は、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内です。2カ月を超えた時点で通常総会を招集する場合などは、「申告期限の延長の特例の申請書」を提出することで、法人税、地方税の申告期限を1カ月延長できます。
なお、令和2年度税制改正により、2021年3月決算以降、消費税の申告期限も1カ月延長できることになりました。
法人税などの税金は、基本的に黒字となった場合にかかりますが、法人住民税の均等割額(資本金等1千万円以下の場合に年7万円)は、赤字の場合でも納税が必要です。
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