食品ロス削減を目指した「社会貢献型プラットフォーム Otameshi」事業を展開する株式会社SynaBiz(親会社:株式会社オークファン)。シリーズ初回である今回は、その運営を担う藤井さんが「食品ロス削減に向けた国内の取組みの現状およびその背景」について解説します。
※Otameshiとは
品質に問題はないが様々な事情で従来廃棄されていた商品をオトクに購入でき、かつ購入者様が選んだ社会貢献活動団体に売上の一部を寄付できるショッピングサイトです。
(https://www.otame4.jp/)
食品ロスの現状と私たちにできること
食品ロスとは、食べられるのに捨てられてしまう食べ物を指し、日本では年間643万トン*もの食品ロスが発生しています。これは世界で飢餓に苦しむ人々への食糧支援量約380万トン**に比べても1.7倍と非常に大きな数字となっています。
*農林水産省「平成28年度推計」
**国連世界食糧計画「2017年実績」
この大きな社会的課題に対して政府も立ち上がり、昨年10月に食品ロス削減推進法が施行されました。この施行と同時に、この大きな課題に対して関係各省庁及び地方自治体が一丸となって、事業会社及び家庭・個人の双方向へ向け、商習慣の改善、フードバンクへの支援、ドギーバック(食品を持ち帰る容器)の普及、食育推進大会等のイベント開催など啓蒙活動を含め様々な取り組みを始めております。
(出典:環境省HPより当社作成)
この法律の背景には、2015年9月の国連総会で採択された2030アジェンダの12番目の「つくる責任、つかう責任」における食品ロス問題への言及があります。12番目を構成する12.3のターゲットには「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」と明記されています。
食品ロスの原因とそれを解消する動き
日本の年間食品ロス643万トンの内訳は、家庭系が291万トンで、事業系は352万トンにのぼります。
家庭における食品ロス291万トンの主な要因は、食べ残しが多くを占めますが、その他傷んでいた(傷んでしまった)、消費(賞味)期限切れ、美味しくない等の理由があります。
そこで、家庭(個人)向けに、買い過ぎの防止の啓蒙、賞味期限と消費期限の違いの周知、食材を使い切るレシピの提案等、食品ロス削減に向けた啓蒙活動が活発化されております。
一方、家庭における食品ロスを上回る事業系(食品関連事業)の食品ロスのうち外食産業からの食品ロス130万トンを除く222万トンは、生活者(消費者)に届く前に製造から流通の過程で廃棄されてしまっているのが現実です。この222万トン廃棄の原因は、商慣習や季節要因、販売予測のズレによるもの等様々なものがあります。
例えば、商慣習の面では、賞味期限の「年月日」表示や、食品メーカーが賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例「3分の1ルール」(賞味期間の3分の1を過ぎた商品は、小売店舗が受取拒否・返品)が、廃棄の原因となっていました。
しかしながら、食品ロス削減の機運の高まりとともに、「日付」を気にする消費者の購買行動等を踏まえ賞味期限の「年月日」表示を「年月」表示へ、小売店舗の慣例である「3分の1ルール」を2分の1へ(賞味期間が2分の1以内の商品なら受け入れ)、といったように、廃棄の原因となっていた商習慣を変える取り組みが進んでいます。
さらに、食品関連事業会社では、時期を逃すと販売不能になってしまう季節商品について、予約販売への変更、気候や気温も絡む販売予測の精度向上、在庫管理の徹底、配送時の汚破損の削減など、様々な対策を講じ、食品ロス削減に向けた企業努力を続けています。
また、商品パッケージの変更により販売不能となった商品、予約販売のみでは需要を賄えない季節商品(例えば「お正月の餅」等)や予想外の余剰在庫も存在しています。そういった品質には問題ないものの、様々な事情で従来は廃棄されていた商品をインターネット上で流通させるという試みが、IT企業によっても行われるようになってきています。
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