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資金調達とは
事業に必要な資金を調達することを「資金調達」と言います。資金調達は方法ごとに特徴があり、その特徴を踏まえた資金計画を立てていく必要があります。主な資金調達方法は下図にまとめた「出資」「借入」「補助金」の3つです。
【資金調達方法のポイント】
出資
出資とは、法人経営の場合に活用できる資金調達の方法で、個人(代表者・家族、友人・知人)や法人(親会社、投資会社)から、その会社の株式や持分として資金を出してもらう資金調達の方法で、資金を出した者は株主・出資者となります。
一般的に株主は議決権などの経営権を持ちますが、株式は付帯する権利や条件が異なる種類株式を発行することで、株主の権利を制限することもできます。
投資会社等としては「農林漁業法人等投資育成制度」に基づいて農業法人に出資をするアグリビジネス投資育成(株)や投資事業有限責任組合(LPS)があります。
農地所有適格法人の場合は、構成員(株主、社員、組合員)・議決権要件があるため、会社法人(株式会社、持分会社)の場合は株主の属性や割合にも留意が必要で、農業関係者が総議決権の1/2超を有する必要があります。
なお、農事組合法人については、平成27年農地法改正により構成員要件が無くなりましたが、農協法により組合員は原則として農民に限られます。
出資は自己資本になりますので、貸借対照表の右下の純資産(自己資本)に計上されます。総資本に対する純資産(自己資本)の割合は「自己資本比率」と呼ばれ、会社の安全性を示す指標です。自己資本を増強することで財務内容の改善につながります。
出資を受ける場合は、利息の支払いはありませんが、利益に応じて配当金の支払いが必要な場合があります。配当金は剰余金の処分であり、会計上の費用ではなく、税法上も損金とならない点に注意が必要です。
借入
借入とは、金融機関による融資や、個人等からの借入金など、返済することを前提とした資金調達方法を指します。JAバンクで取り扱うものでは「農業近代化資金」や「アグリマイティー資金」などがあります。
金融機関から融資を受けた場合は、元金の返済と利子の支払いがありますが、出資と異なり通常は経営権を持たれることはありません。
借入による資金は、貸借対照表の右上の負債に計上されます。負債が増えるほど、相対的に総資本に対する純資産(自己資本)の割合、つまり自己資本比率が下がることになり、経営の安全性は下がります。
補助金
補助金とは、国や地方自治体等が支給元となり、条件を満たせば資金が給付される仕組みのことで、多くは返済義務がありません。新しい技術へのチャレンジや異業種間連携の促進など、行政の方針に沿った内容であることが多く、1千万円以上の高額な補助が出るものもあります。ただし、補助金は事後の支給となる場合が多いため、補助率と準備できる資金を勘案して申請する必要があります。
補助金制度や補助事業は農業法人向けのものの他、中小企業向けのものもあります。補助の要件や自社の事業計画を踏まえて選択し、書類の作成や等が必要となりますので専門家の力を借りる手もあります。
補助金は収益となりますが、固定資産の取得に充てるための国庫補助金等については「圧縮記帳」をすることで課税を繰り延べることができます。ただし、圧縮記帳は課税の免除ではないこと、一定の要件を満たす必要があることに注意してください。
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